ART
アニッシュ・カプーアの作品が別府に出没中!
| Art, Travel | casabrutus.com | text_Mari Matsubara editor_Keiko Kusano
現代美術家、アニッシュ・カプーアの作品が大分県別府市にやってきた! 風景の中に突如、丸く切り取られた空が浮かぶ作品《Sky Mirror》など、興奮を巻き起こすアートが温泉の町を沸騰させている。
近年では2015年にヴェルサイユ宮殿と庭園の様々な場所で複数の大型作品を展示したのが鮮烈に記憶に残るアニッシュ・カプーア。世界の現代アート界で最も重要なひとりを、東京ではなく、なんと九州・別府に招致したのが、大分県内でさまざまなアートプロジェクトを手がけてきた混浴温泉世界実行委員会による芸術祭『in BEPPU』だ。これは、毎年1組のアーティストにフォーカスし、別府市内で作品を展覧するという催しで、2016年にアート・ユニット「目」、2017年に西野逹の個展を開催し、今回のカプーアで3回目となる。今年は〈別府公園〉を会場にカプーアの作品が3カ所設置され、決められたコースを辿って観て回る。
公園内の、松の並木を通って初めに見えてくるのが《Void Pavillion V》だ。
公園内の、松の並木を通って初めに見えてくるのが《Void Pavillion V》だ。
幅6メートル、高さ6メートル、奥行き12メートルのキューブ状の建物は、小さい入り口が2つあり、まずは正面の入り口へ。すると目の前の白い壁に真っ黒な真円が見える。これは立体なのか、穴なのか? 遠近感もつかめず、自分がいったい何を見ているのか分からない不思議な感覚に陥る。
いったん外に出て、今度は建物の裏側から入る。すると真っ黒な面が立ちはだかる。斜めから見ると半球体のシルエットを認識し、先ほど見た作品の裏側を見ていることがおぼろげに分かってくる。しかし作品と正対すると、やはり黒一色。まるで宇宙空間の虚無を見つめているようだ。カプーアのファンならご存じ、光を高い確率で吸収してしまう特殊な顔料を使ったこの作品は、観る者の視覚を揺るがし、大いに戸惑わせる。
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