ART
浅草のアートホテル〈KAIKA 東京〉に新ギャラリー誕生！ オープニングは藤元明の個展です。
| Art | casabrutus.com | text_Yuka Uchida editor_Keiko Kusano
東京・浅草のアートホテル〈KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS〉の1階にこの春、完成したコマーシャルギャラリー〈GALLERY ROOM・A〉がいよいよ始動！ オープニング展はアーティスト藤元明による展覧会です。
〈GALLERY ROOM・A〉で開催中の藤元明『Structure Slide』展。〜2021年5月22日まで開催。
築55年の倉庫ビルを再生し、コンテンポラリーアートを公開・保管するアートストレージ（収蔵庫）があるホテルとして2020年に誕生した、東京・浅草のホテル〈KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS〉（以下、KAIKA 東京）。アートとホテルのユニークな融合の場に、新たな空間が誕生。それがホテルの1階に今春完成したコマーシャルギャラリー〈GALLERY ROOM・A〉だ。
運営するのは、アートプラットフォーム「ArtSticker」を主宰する〈The Chain Museum〉と、インディペンデントキュレーターの青木彬。ギャラリーでは国内外のアーティストを招いた展覧会を開催するほか、ホテルの客室を使った展示や、浅草という地域性を活かしたワークショップ、トークイベントなども企画していく。
オープニング展覧会は、4月10日からスタートするアーティスト藤元明の個展。藤元が近年力を入れている、有田焼の壺などに転写型絵付釉薬やペインティングを施して、作品として蘇らせるシリーズや、ダイナミックな平面作品など、新作を含めた9点が披露される。
運営するのは、アートプラットフォーム「ArtSticker」を主宰する〈The Chain Museum〉と、インディペンデントキュレーターの青木彬。ギャラリーでは国内外のアーティストを招いた展覧会を開催するほか、ホテルの客室を使った展示や、浅草という地域性を活かしたワークショップ、トークイベントなども企画していく。
オープニング展覧会は、4月10日からスタートするアーティスト藤元明の個展。藤元が近年力を入れている、有田焼の壺などに転写型絵付釉薬やペインティングを施して、作品として蘇らせるシリーズや、ダイナミックな平面作品など、新作を含めた9点が披露される。
ペインティング作品《Landslide BW#1》（2020）。キャンバスの上に複数の顔料を流し込むことで、それぞれの顔料がランダムに混ざり、弾き合いながら人為的には生み出せない構成が生まれていく。
新作のペインティング作品となる《Landlside #5》（左）と《Landlside #6》（右）。まるで “地すべり” のようにダイナミックでありながら、細部に目を凝らすと複数の顔料が織りなす繊細な表情が見えてくる。《Landlside》シリーズは、これまでも様々な自然現象から着想を得て制作を続ける藤元ならではの新作だ。
窯元に残る有田焼の壺などにペインティングなどを施し、再生させたシリーズ。2014年より取り組んでいるプロジェクトで、流通からはじき出されてしまった伝統工芸品に、アートの解釈を加え、蘇らせている。
有田焼を再生させた作品《Osmosis》シリーズと《Laminatios》シリーズ。
ギャラリーがあるのはホテル1階。宿泊客以外も無料で立ち寄れる。
ホテルに泊まりながら、作品と作家による音声ガイドが楽しめる宿泊プランでは、2つの特別室を準備。ひとつめの「Concept Room」には、藤元のアートプロジェクト《ソノアイダ》によって制作された新作のペインティング作品を展示。《ソノアイダ》とは、借し物件や空き物件など、建て直しまで占有権のない場所を“空間メディア”として活用するプロジェクトで、今回披露されるのは昨年秋に有楽町のビルをアトリエ化して制作していた作品だ。
関連記事：東京、丸の内。都市の「すき間」にアートが出現中。
もう一方の「Answer Room」は、〈The Chain Museum〉を率いる遠山正道からの問いに、藤元明が作品で答えるという内容。遠山が提示したのは「10進法の時計」。この時計は、テクノロジーの進化であらゆるものを合理化、単純化させた結果だという。「失われた2時間に何を思うのか？」というのが、遠山から藤元へ投げかけられた問いだ。
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もう一方の「Answer Room」は、〈The Chain Museum〉を率いる遠山正道からの問いに、藤元明が作品で答えるという内容。遠山が提示したのは「10進法の時計」。この時計は、テクノロジーの進化であらゆるものを合理化、単純化させた結果だという。「失われた2時間に何を思うのか？」というのが、遠山から藤元へ投げかけられた問いだ。
「Concept Room」にセットする作品を制作中の藤元。宿泊中はダイナミックな平面作品を独り占めできる。
ギャラリーで個展を開催中のアーティストと作り上げる「Concept Room」と「Answer Room」。ここに毎回異なるアートがインストールされる。
〈KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS〉のロビー。
バーラウンジ。日本茶やカクテルが味わえる。アート鑑賞の合間にホテルの空間も楽しみたい。
ホテルは築55年の倉庫をリノベーション。ロゴなどのグラフィックは田中義久が手がけた。
「Concept Room」と「Answer Room」に泊まれるのは、それぞれ1日1組限定。客室で、ギャラリーで、とことんアートと対峙する宿泊体験ができる。キュレーターの青木彬は「商品に使用価値があるように、アートの未知なる使用価値について探索したい」と話す。「作品の鑑賞や購入、アーティストとの対話や宿泊プログラムを通じて、あるときはクリニックのように人を癒し、またあるときはアカデミーのように学びの場となる可能性を拓いていきたい」とも。2021年5月29日からは小川武、2021年7月10日からはDIEGOの個展を開催予定。これからの展開が楽しみだ。
藤元明『Structure Slide』展
〈GALLERY ROOM・A〉
東京都墨田区本所2-16-5 KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS 1F STORAGE 1。8時〜23時。入場無料。会期中無休。2021年4月10日〜5月22日まで。「Concept Room / Answer Room」の宿泊は素泊り1名利用16,350円～、朝食付き1名利用17,850円～、朝食付き2名利用19,350円～
