CULTURE
Tenugui | 柳家小里ん。
August 15, 2014 | Culture | a wall newspaper | text: Sawako Akune editor: Yuka Uchida
寄席をぐっと引き締める大ベテランの一本は、ご自身のお酒好きを反映しているようで。
自分の手ぬぐいを今の柄にしたのはもう10年くらい前かな。友禅をやっている友人にお任せしたら、僕の絵を描いてくれたんです。お酒を飲んで寝ているの! もう昔ほどは飲まないんだけどさ……(笑)。以来、毎年色を変えて作っています。高座でも使うので、名前は目立たないように隅っこに小さく入れてある。これまでに柄は何度か変えたのだけど、昔の手ぬぐいは全然残ってないんだよね。だいたい僕にはコレクター気質が全くないから、今考えればとても貴重なものでも、全部人にあげちゃうんだ。物だって、好きって言ってくれる人に大事にされたほうがいいからさ。
今日もう一枚持ってきたのは師匠である五代目柳家小さんが、何かの記念の折に作った手ぬぐい。字も絵もとても上手い人で、色紙なんかにはよく絵を描いて差し上げてた。でもそれを傍らで見てた僕ら弟子は、一枚も持ってないんだよね。師匠に色紙もらうなんて、おかしな話だからさ。だからこれが色紙代わり。なに、小さん好きだったの? じゃあ大切にしてくれるならこれ、あげるよ」(笑)
今日もう一枚持ってきたのは師匠である五代目柳家小さんが、何かの記念の折に作った手ぬぐい。字も絵もとても上手い人で、色紙なんかにはよく絵を描いて差し上げてた。でもそれを傍らで見てた僕ら弟子は、一枚も持ってないんだよね。師匠に色紙もらうなんて、おかしな話だからさ。だからこれが色紙代わり。なに、小さん好きだったの? じゃあ大切にしてくれるならこれ、あげるよ」(笑)
師匠・五代目柳家小さんの手ぬぐい。「他抜」と書いて此たぬき頃とは気の利いた洒落。字にも絵にも大らかな人柄がにじみ出るよう。
やなぎやこりん
1948年浅草生まれ。69年五代目柳家小さんに入門。前座名小多け。74年二ツ目昇進して小里ん。83年真打昇進。