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柳宗理デザインの和紙を使った名作照明が〈イデー〉で商品化を準備中。その開発過程を聞きました。
April 10, 2024 | Design | PR | photo_Satoshi Nagare text_Mariko Uramoto editor_Keiko Kusano
1980年にミラノで発表して以来、商品化が待ち望まれていた柳宗理の和紙ペンダント照明。40年以上の時を経て、〈イデー〉がその夢を実現しようとしています。柳宗理の意志を引き継いだ柳工業デザイン研究会の藤田光一さん、イデー在籍時より商品開発担当を務めているデザインマネージャーの深田新さんに商品化までの歩みを聞きました。
空飛ぶ円盤のようなシルエットから柔らかな灯りが漏れる和紙のペンダントライト。見る人の心を和ませるこの照明は柳宗理がデザインを手がけたもの。柳工業デザイン研究会・デザイン担当主任を務める藤田光一さんが、この照明が生まれた当時のことを振り返ってくれた。
「柳は1970年代後半に、真鍮製のパイプを寄せ集めて立体的にした照明の開発を行っていました。その後、カスティリオーニがデザインした《タラクサカムS2・ペンダントライト》のような立体的でありながら継ぎ目がない柔らかな雰囲気の照明を作れないかと考えるようになり、そこからこのペンダント照明が生まれたんです」(藤田光一)
「柳は1970年代後半に、真鍮製のパイプを寄せ集めて立体的にした照明の開発を行っていました。その後、カスティリオーニがデザインした《タラクサカムS2・ペンダントライト》のような立体的でありながら継ぎ目がない柔らかな雰囲気の照明を作れないかと考えるようになり、そこからこのペンダント照明が生まれたんです」(藤田光一)
当初は軽さと強度を兼ね備えるコクーン樹脂などで作ることも検討したが、研究を繰り返す中で、糊で濡らした紙を型に張り合わせて立体型を作る張子細工の製法に着目。また、一般的な紙ではなく、和紙を使うことで、楮(こうぞ)の繊維同士が絡み合い、竹の骨組みなどを利用しなくても、外からの力に強く、壊れにくい照明が作れるのではないかと気づいた。研究と試作を重ね、ついにFRPで作った専用の型に5枚の和紙を貼り重ねることでイメージ通りの照明が完成。その作品を1980年イタリア〈ミラノ市近代美術館〉で行われた個展『デザイナー柳宗理・1950〜1980年の作品』で発表すると、大きな話題を呼んだ。
「柳はこの照明を特に気に入っていて、量産できないかと考えていました。ただし、我々がすべて手作業で作る方法では1日1個が限界。いくつかのメーカーと商品化のために打ち合わせもしましたが、叶いませんでした。試作に終わってしまうのかと諦めかけていた時、〈イデー〉の深田さんから商品化の話をいただいたんです」(藤田)
〈イデー〉では、かつて販売が伸び悩んでいた柳宗理の《バタフライスツール》に黒カシュー塗りを施したイデーオリジナル商品を販売したことがあり、関わりも深い。〈イデー〉でデザインマネージャーを務めていた深田さんは、以前からこの美しい和紙ペンダント照明の商品化に強い思いを持っていたという。
「これまで柳さんの展覧会や作品集で、この和紙のペンダント照明を何度となく見ていてすごくいいなと思っていたんです。柳さんがご存命中、初めて事務所にお伺いした時、実物を見て一層感動したんですね。どうやったら量産化できるのだろうと思っていた時、谷口・青谷和紙の立体漉き和紙という技術を知り、これであればできるのではないかと藤田さんに連絡をしました」(深田新)
〈イデー〉では、かつて販売が伸び悩んでいた柳宗理の《バタフライスツール》に黒カシュー塗りを施したイデーオリジナル商品を販売したことがあり、関わりも深い。〈イデー〉でデザインマネージャーを務めていた深田さんは、以前からこの美しい和紙ペンダント照明の商品化に強い思いを持っていたという。
「これまで柳さんの展覧会や作品集で、この和紙のペンダント照明を何度となく見ていてすごくいいなと思っていたんです。柳さんがご存命中、初めて事務所にお伺いした時、実物を見て一層感動したんですね。どうやったら量産化できるのだろうと思っていた時、谷口・青谷和紙の立体漉き和紙という技術を知り、これであればできるのではないかと藤田さんに連絡をしました」(深田新)
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