ART
官能的なワイヤーのオブジェ。ルース・アサワを知っていますか?
October 20, 2015 | Art | casabrutus.com | text_Naoko Aono editor_Akio Mitomi
しずくか植物のような官能的なワイヤーのオブジェの作家、ルース・アサワは戦後アメリカで活躍したアーティストだ。アサワは1926年、カリフォルニア州生まれ。日系の移民だった両親はアサワに日本文化を伝えようと書道と剣道を習わせた。しかし、41年に太平洋戦争が勃発すると彼らは強制収容所に入れられてしまう。収容所でアサワは日本人のアーティストに出会い、絵を描くようになる。
終戦後、アサワはブラック・マウンテン・カレッジに入学、そこでジョセフ・アルバースやバックミンスター・フラー、ジョン・ケージといった教授陣と出会う。アーティストとしての彼女の方向性を決定したのは47年、メキシコでのことだった。そこでワイヤーを編んだバスケットの造形に魅せられた彼女は、自分でもワイヤーによるオブジェを作るようになったのだ。
54年にはニューヨークのギャラリーで初めての個展を開く。翌年にはホイットニー美術館が彼女の作品をコレクションに加えた。73年にはサンフランシスコ近代美術館で回顧展が開かれる。展覧会のほか、ハイアット・ホテルや日米強制収容所メモリアルの彫刻などのコミッションワークも盛んに制作していた。また68年には友人と共同でアート・スクールを設立、とくに子供向けの美術教育に熱心に取り組んだ。2013年、87歳で亡くなるまでアメリカ西海岸を中心に多くの個展を開いている。
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