ART
村上隆が注目する現代美術家・菊畑茂久馬を知っていますか。
October 19, 2015 | Art | casabrutus.com | text_Mariko Uramoto editor_Akio Mitomi
80歳の現代美術家・菊畑茂久馬(きくはたもくま)の新作個展「春の唄」が〈カイカイキキギャラリー〉にて開催中。3年の歳月を経て完成した新作4点はすべてが約2m×6mという大作。圧巻の内容だ。
村上隆が「戦後の日本現代美術界を語る際に絶対に通過せねばならない作家」と語る、菊畑茂久馬。青年期より地元・福岡で絵画を独学で習得し、「反芸術」の先鋒として活躍。常に東京と一定の距離を保ちながら、《奴隷系図》に代表される大型油彩画を次々に発表し、注目を集めてきた。
その後突然、美術界の表舞台から身を引くも、福岡筑豊の炭鉱画家・山本作兵衛の研究や、太平洋戦争記録画に関する論考の発表など、日本近代以降の「美術」を批判的に検証するほか、私塾〈美学校〉の講師を務めるなど幅広い活動を続けてきた。
その後突然、美術界の表舞台から身を引くも、福岡筑豊の炭鉱画家・山本作兵衛の研究や、太平洋戦争記録画に関する論考の発表など、日本近代以降の「美術」を批判的に検証するほか、私塾〈美学校〉の講師を務めるなど幅広い活動を続けてきた。
菊畑がその沈黙を破ったのは、約20年を経た1983年。連作《天動説》を発表し、活動を再開。中央の美術界で再び注目を集めながら、一貫して東京から離れた福岡で制作を続けている。
今回、村上が代表を務めるカイカイキキギャラリーに並ぶ新作《春の唄》シリーズ4点は、2011年に福岡で発表された《春風》につながる作品で、これまでの「喧嘩ごしの絵」から、「崇高で気品のある、夢をみるような、堂々たる叙情」の世界が描かれているという。
今年は戦後70年という節目の年。戦争、人間、芸術に真正面から対峙してきた菊畑の作品を通して、新たな春の世界を味わいたい。
今回、村上が代表を務めるカイカイキキギャラリーに並ぶ新作《春の唄》シリーズ4点は、2011年に福岡で発表された《春風》につながる作品で、これまでの「喧嘩ごしの絵」から、「崇高で気品のある、夢をみるような、堂々たる叙情」の世界が描かれているという。
今年は戦後70年という節目の年。戦争、人間、芸術に真正面から対峙してきた菊畑の作品を通して、新たな春の世界を味わいたい。
菊畑茂久馬 個展「春の唄」
〈Kaikai Kiki Gallery〉
東京都港区元麻布2-3-30 元麻布クレストビルB1F。 TEL 03 6823 6039。〜10月23日。11時〜19時。月曜・日曜・祝日休。公式サイト