ART
いつの時代も色あせない森山大道という伝説。
| Art, Culture | a wall newspaper | text_Akio Mitomi
デジタル時代を生きる写真家・森山大道を追った岩間玄監督が、その人物像と撮影術について語ります。
80歳を超えなお世界的な写真家の1人として撮影を続ける森山大道。その現在進行形の姿に迫った映画『過去はいつも新しく、未来はつねに懐かしい 写真家 森山大道』を監督した岩間玄に、伝説の写真家について聞いた。
Q 本作を撮ったきっかけは?
1996年に大道さんを撮ったTVドキュメンタリーを20年ぶりに再上映した際、観客から「なぜ今の森山さんを撮ろうとしないのか?」と問われたのです。
Q 今回も森山さんに密着した映像は臨場感にあふれています。
「僕は小さなコンパクトカメラで犬のように路地裏を歩き回っているので、大所帯の撮影は似合わない。岩間さん1人で撮ればいいんじゃない? カメラなんて何でもいいんだよ、写ればどうにかなる」と、大道さんに言われて、僕1人でハンディカメラで撮ると腹をくくりました。構成台本もやめようと。大道さんも「僕はテーマを設けない。テーマは街にある。事物と擦過したときに作品が生まれるんだ」と言っているんだから。
Q 編集者と造本家の視点からも観ることができる映画ですね。
何も決めず大道さんをスナップしていく途中で、神林豊さんから50年前の名デビュー作『にっぽん劇場写真帖』復刊の話を聞きました。町口覚さんからは「写真集の紙は木からできていて、その木は森に生えている。1冊の本はそこまで考えてつくるんです」と。この話に大道さんの過去と未来を仮託できると思いました。森で始まって紙から本になる工程と大道さんのスナップが最終的にクロスして、木の生育にかかるのと同じ50年後に初写真集をまた世界に問う。
Q 本作を撮ったきっかけは?
1996年に大道さんを撮ったTVドキュメンタリーを20年ぶりに再上映した際、観客から「なぜ今の森山さんを撮ろうとしないのか?」と問われたのです。
Q 今回も森山さんに密着した映像は臨場感にあふれています。
「僕は小さなコンパクトカメラで犬のように路地裏を歩き回っているので、大所帯の撮影は似合わない。岩間さん1人で撮ればいいんじゃない? カメラなんて何でもいいんだよ、写ればどうにかなる」と、大道さんに言われて、僕1人でハンディカメラで撮ると腹をくくりました。構成台本もやめようと。大道さんも「僕はテーマを設けない。テーマは街にある。事物と擦過したときに作品が生まれるんだ」と言っているんだから。
Q 編集者と造本家の視点からも観ることができる映画ですね。
何も決めず大道さんをスナップしていく途中で、神林豊さんから50年前の名デビュー作『にっぽん劇場写真帖』復刊の話を聞きました。町口覚さんからは「写真集の紙は木からできていて、その木は森に生えている。1冊の本はそこまで考えてつくるんです」と。この話に大道さんの過去と未来を仮託できると思いました。森で始まって紙から本になる工程と大道さんのスナップが最終的にクロスして、木の生育にかかるのと同じ50年後に初写真集をまた世界に問う。
Q 今ではデジカメを使いこなす森山さんの姿が印象的です。
「カメラなんてコピー機なんだから」という大道さんがスナップしているところを、僕も複写したんだと思います。フィルムの頃は100m歩く間に36枚撮りを撮り切ったそうですが、「デジタルになったら撮る量が増えたね。カラーもいいよね」と言っていました。
Q まさに現在進行形ですね。
50年前の作品も同じで、「写真は何度でも生まれ変わるんだ。その時代、そのとき組む相手によって変わっていい」と聞きました。
Q 森山作品の秘密は明らかに?
何の秘密もない。機材も光も撮影場所も。にもかかわらず大道さんの写真になるということを見せるのが、この映画です。大道さんの写真は本質的にはアートではなく世界のコピー、断片なんだと。
Q 最後に観客へのメッセージを。
写真って何だろう、という疑問を抱いてもらいたい。映画で50年を振り返った大道さんは言いました。「写真というものがあってつくづくよかった。僕は写真というものに出会う人間だったよな」
「カメラなんてコピー機なんだから」という大道さんがスナップしているところを、僕も複写したんだと思います。フィルムの頃は100m歩く間に36枚撮りを撮り切ったそうですが、「デジタルになったら撮る量が増えたね。カラーもいいよね」と言っていました。
Q まさに現在進行形ですね。
50年前の作品も同じで、「写真は何度でも生まれ変わるんだ。その時代、そのとき組む相手によって変わっていい」と聞きました。
Q 森山作品の秘密は明らかに?
何の秘密もない。機材も光も撮影場所も。にもかかわらず大道さんの写真になるということを見せるのが、この映画です。大道さんの写真は本質的にはアートではなく世界のコピー、断片なんだと。
Q 最後に観客へのメッセージを。
写真って何だろう、という疑問を抱いてもらいたい。映画で50年を振り返った大道さんは言いました。「写真というものがあってつくづくよかった。僕は写真というものに出会う人間だったよな」
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