ARCHITECTURE
新しい挑戦を続ける、安藤忠雄の原動力。
『カーサ ブルータス』2017年12月号より
November 11, 2017 | Architecture | TADAO ANDO’S ENDEAVORS | photo_Kosuke Mae interview_Yoshikuni Shirai text_Katsura Hiratsuka
建築家として50年の活動を総括する展覧会を開催、新作も話題を集める安藤忠雄。なお新たなプロジェクトに挑戦しつづける原動力とは?
1969年に設計活動を始めておよそ半世紀。その仕事を振り返る大型の展覧会の開催へとこぎ着けた安藤忠雄。ここで一息つくのかと思いきや、さらに活動のギアを上げようとしているようにも見える。先日、寄付を集めて図書館を建て、大阪市に寄贈するという壮大なプロジェクト〈こども本の森 中之島(仮称)〉を発表した。〈真駒内滝野霊園 頭大仏〉〈森の中の家 安野光雅館〉といった新作も話題である。節目を迎えた安藤は今、何を考えているのだろうか。常に挑戦をしつづける原動力とは何なのか。展覧会の準備や打ち合わせで多忙な合間を縫って、インタビューを敢行した。
会議室にひとり、身軽な姿で颯爽と現れた安藤。挨拶もそこそこに「今日は何の話をしましょうか? 写真を先に撮るのですか?」と、自ら取材の段取りをこちらへと確認してくる。カーサが安藤にインタビューするのは2016年11月号の特集以来、1年ぶり。変わらずの速度感、かつて大手術を受けたとは思えない闊達さは健在だ。
会議室にひとり、身軽な姿で颯爽と現れた安藤。挨拶もそこそこに「今日は何の話をしましょうか? 写真を先に撮るのですか?」と、自ら取材の段取りをこちらへと確認してくる。カーサが安藤にインタビューするのは2016年11月号の特集以来、1年ぶり。変わらずの速度感、かつて大手術を受けたとは思えない闊達さは健在だ。
グローバルな活動を支えるわずか25人の事務所。
ー今日も朝からお忙しそうですが、今どんなお仕事が進んでいますか。
「今、地元大阪の仕事は1つしかないんですよ。仕事の80%は海外です。アメリカ、フランス、ドイツ、スイス、イタリア、中国、韓国、台湾でプロジェクトが進んでいます。仕事は国際的なのですが、気持ちはずっと大阪。それがよかったと思っています。私は大阪生まれで大阪育ちです。心までグローバル化させることには反対で、自分の住む場所で豊かに住むほうがいい、生涯大阪で行きたいと、今もこうして東京にも海外にも、大阪から通っています」
ー大阪を拠点として、国際的な仕事をどうやって進めているのですか?
「海外だけで約35件のプロジェクトを同時進行させていますが、事務所のスタッフは25人くらいです。先日レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースに事務所の規模を聞かれたので、25人と答えたら驚かれました。150人くらいいる事務所に見えるようです。35年くらい在籍している所員が4人、20年在籍が6人ほどいます。高齢者団体ですよ(笑)。この少人数でも、トラブルはほとんど起きません。コツはコンピューターに頼りすぎないこと。スタッフはコンピューターを使っていますし、それはそれでよい部分もありますが、やはり重要なのは人間と人間が、お互いの心を割って話をすること。そうすればもめることはありません」
「今、地元大阪の仕事は1つしかないんですよ。仕事の80%は海外です。アメリカ、フランス、ドイツ、スイス、イタリア、中国、韓国、台湾でプロジェクトが進んでいます。仕事は国際的なのですが、気持ちはずっと大阪。それがよかったと思っています。私は大阪生まれで大阪育ちです。心までグローバル化させることには反対で、自分の住む場所で豊かに住むほうがいい、生涯大阪で行きたいと、今もこうして東京にも海外にも、大阪から通っています」
ー大阪を拠点として、国際的な仕事をどうやって進めているのですか?
「海外だけで約35件のプロジェクトを同時進行させていますが、事務所のスタッフは25人くらいです。先日レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースに事務所の規模を聞かれたので、25人と答えたら驚かれました。150人くらいいる事務所に見えるようです。35年くらい在籍している所員が4人、20年在籍が6人ほどいます。高齢者団体ですよ(笑)。この少人数でも、トラブルはほとんど起きません。コツはコンピューターに頼りすぎないこと。スタッフはコンピューターを使っていますし、それはそれでよい部分もありますが、やはり重要なのは人間と人間が、お互いの心を割って話をすること。そうすればもめることはありません」
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