CULTURE
【本と名言365】西岡常一|「個性を殺さず癖を生かす。人も木も…」
September 27, 2023 | Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Yoshinao Yamada illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。生涯を通じて木と向き合い、歴史を継承してきた伝説の大工が遺したことばは、人の生き様にまつわるものでした。
個性を殺さず癖を生かす。人も木も、育て方、生かし方は同じだ
金堂や五重塔などが、現存する世界最古の木造建築物として知られる法隆寺。飛鳥時代の建築様式や技術をいまに伝える貴重な存在は、法隆寺の修繕や解体を担ってきた大工棟梁によって守られてきたといえる。日中戦争から太平洋戦争、そして終戦という激動の時代にある1934年から1954年に行われた昭和の大改修で、大きな役割を担った大工棟梁が西岡常一だ。その卓越した技術と知識で、西岡は「最後の宮大工」と呼ばれた。
古くから法隆寺に大工棟梁として使える家に生まれた西岡は、同じく大工棟梁として活躍した祖父に幼少期から多くを学んだ。「個性を殺さず癖を生かす。人も木も、育て方、生かし方は同じだ」という言葉も、祖父から教えられた法隆寺の棟梁に代々伝わる口伝をもとにしている。木をよく見れば、その使い方も自ずと見えてくる。それは木に限らず、人にも言えることだと西岡はいう。さらに口伝をもとにした西岡の言葉に、堂塔の建立には木を買わず山を買えという言葉がある。これは木を単体としてみるのではなく、その土壌や生育を見ろという教えだ。木の癖を見て組むには、それを組む職人の心こそが大事だという言葉も。このように西岡が伝える教えの数々は、いまを生きる私たちの日常にもそのまま置き換えることができる。
古くから伝わってきた大工の教えは、そのまま人の生き様に繋がるものだ。西岡の言葉を遺した著作はいくつかあるが、そのいずれもが多くの示唆に満ちている。ものづくりの根幹には人があるということを、その言葉の数々が教えてくれる。
金堂や五重塔などが、現存する世界最古の木造建築物として知られる法隆寺。飛鳥時代の建築様式や技術をいまに伝える貴重な存在は、法隆寺の修繕や解体を担ってきた大工棟梁によって守られてきたといえる。日中戦争から太平洋戦争、そして終戦という激動の時代にある1934年から1954年に行われた昭和の大改修で、大きな役割を担った大工棟梁が西岡常一だ。その卓越した技術と知識で、西岡は「最後の宮大工」と呼ばれた。
古くから法隆寺に大工棟梁として使える家に生まれた西岡は、同じく大工棟梁として活躍した祖父に幼少期から多くを学んだ。「個性を殺さず癖を生かす。人も木も、育て方、生かし方は同じだ」という言葉も、祖父から教えられた法隆寺の棟梁に代々伝わる口伝をもとにしている。木をよく見れば、その使い方も自ずと見えてくる。それは木に限らず、人にも言えることだと西岡はいう。さらに口伝をもとにした西岡の言葉に、堂塔の建立には木を買わず山を買えという言葉がある。これは木を単体としてみるのではなく、その土壌や生育を見ろという教えだ。木の癖を見て組むには、それを組む職人の心こそが大事だという言葉も。このように西岡が伝える教えの数々は、いまを生きる私たちの日常にもそのまま置き換えることができる。
古くから伝わってきた大工の教えは、そのまま人の生き様に繋がるものだ。西岡の言葉を遺した著作はいくつかあるが、そのいずれもが多くの示唆に満ちている。ものづくりの根幹には人があるということを、その言葉の数々が教えてくれる。
Loading...