CULTURE
【本と名言365】篠田桃紅|「この世は制約だらけです。だけど…」
March 14, 2024 | Culture, Art, Design | casabrutus.com | photo_Yuki Sonoyama text_Mariko Uramoto illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。107歳で生涯を閉じるまで墨と和紙に向き合い続けていた美術家の篠田桃紅。文字の意味や形から離れ、独自の抽象表現を極めることができた理由とは?
この世は制約だらけです。だけど、心の自由は持っていたい。
墨を使った抽象芸術で知られる篠田桃紅。5歳の頃から書家の父の手ほどきを受け、独学で書を極める。幼い頃から手本をまねることに違和感を持っていたという桃紅は書家として活動する中で、次第に文字にとらわれない抽象表現に向かう。
気鋭の女流作家として注目されるも43歳で単身、アメリカへ。文字として読まれない外国で自分の作品がどう受け入れられるのか、試したくなったのだという。その挑戦は成功し、「墨のアート」として高く評価される。その後、シカゴやパリなどでも個展を開催。しばらくアメリカを拠点に活動していたが、現地の乾いた気候が水墨に向かないと気付き、1958年に帰国。その後壁書や壁画、襖絵、装丁や題字、随筆に至るまで精力的に活動。107才で死を迎えるまで筆と墨に向き合い続けた。
決して、順風満帆なキャリアだったわけではない。27歳に初めて開いた個展では「根無し草」と酷評を受けた。だが、既存の書の枠組みにとらわれない新しい形こそ、自らが希求すべきものがあると確信した桃紅は徹底的に文字と向き合うことで、その制約から離れ、自由な冒険に乗り出すことができた。
「この世は制約だらけです。だけど、心の自由は持っていたい。自分がつくるものだけは、誰にもなんの遠慮もなく、勝手につくりたい」。
晩年まで旺盛な活動を続けた篠田桃紅の作品は凛としていて、豁然としている。まるで彼女の生き方そのものが表れているようだ。
墨を使った抽象芸術で知られる篠田桃紅。5歳の頃から書家の父の手ほどきを受け、独学で書を極める。幼い頃から手本をまねることに違和感を持っていたという桃紅は書家として活動する中で、次第に文字にとらわれない抽象表現に向かう。
気鋭の女流作家として注目されるも43歳で単身、アメリカへ。文字として読まれない外国で自分の作品がどう受け入れられるのか、試したくなったのだという。その挑戦は成功し、「墨のアート」として高く評価される。その後、シカゴやパリなどでも個展を開催。しばらくアメリカを拠点に活動していたが、現地の乾いた気候が水墨に向かないと気付き、1958年に帰国。その後壁書や壁画、襖絵、装丁や題字、随筆に至るまで精力的に活動。107才で死を迎えるまで筆と墨に向き合い続けた。
決して、順風満帆なキャリアだったわけではない。27歳に初めて開いた個展では「根無し草」と酷評を受けた。だが、既存の書の枠組みにとらわれない新しい形こそ、自らが希求すべきものがあると確信した桃紅は徹底的に文字と向き合うことで、その制約から離れ、自由な冒険に乗り出すことができた。
「この世は制約だらけです。だけど、心の自由は持っていたい。自分がつくるものだけは、誰にもなんの遠慮もなく、勝手につくりたい」。
晩年まで旺盛な活動を続けた篠田桃紅の作品は凛としていて、豁然としている。まるで彼女の生き方そのものが表れているようだ。
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