2020年3月再オープン! 〈京都市京セラ美術館〉の建築的魅力とは? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

2020年3月再オープン! 〈京都市京セラ美術館〉の建築的魅力とは?

日本に現存する最古の公立美術館建築が、青木淳と西澤徹夫によるリノベーションで甦りました。建築家により、そのポテンシャルが再発見され、まちへと大きく開かれた歴史ある美術館の魅力をプレビュー!

文化ゾーン岡崎の回遊と交流を生み出すスロープ状の広場と美術館がシームレスにつながる。岡崎の玄関口である大鳥居方面からのアクセスも向上した。
2020年3月21日にリニューアルオープンする〈京都市京セラ美術館〉。3年前、SANAA、隈研吾ら日本を代表する建築家たちが参加した改修プロポーザルで、広場を掘り下げ地下にエントランスを設けることで、歴史的建築の外観を残すという改修設計の革新的なアイデアが話題に。

さらに今年、改修を手がけた建築家のひとり、青木淳が館長に就任するというニュースも飛び込み、美術界のみならず建築ファンからも熱い注目を集めている美術館だ。その改修がついに完了し、11月にお披露目。開館に先駆け、その見どころを紹介しよう。
シンメトリーな既存建物の外観を損なわずにエントランス機能を強化すべく、地下の「ガラス・リボン」からアクセスする。
この美術館が誕生したのは、1933年のこと。建物が現存する公立美術館としては日本で最も古く、昭和初期に広まった和と洋の意匠が融合する建築様式「帝冠様式」の代表例として知られる歴史的建造物だ。

集客力は京都屈指。京都画壇のコレクションを持つ一方で、公募展や美術系大学の卒業制作展が頻繁に開催され、その傍らで『ルーヴル美術館展』などの新聞社主催の大展覧会が行われてきた。

内容も客層もバラバラな展覧会が同時多発的に行われるヘビーデューティーな美術館。その状況に対して、建物そのものの老朽化や訪れる人々に対応するロビーの手狭さ、展示に必要な設備の手薄さといった課題は明らかで、リニューアルに寄せられる期待は大きかった。
美術館のハブとなる「中央ホール」。天井高16m、幅20m、奥行き30mほどの大空間で、戦後の駐留軍に接収されていた時期にはバスケットボールコートとしても使われていた。
本館南回廊2階の展示室。一部の壁は、既存を残したまま上から新しい壁を建て、設備を収めている。床材は元からあったものを研磨しきれいにしている。
美術館のハブとなる「中央ホール」。天井高16m、幅20m、奥行き30mほどの大空間で、戦後の駐留軍に接収されていた時期にはバスケットボールコートとしても使われていた。
本館南回廊2階の展示室。一部の壁は、既存を残したまま上から新しい壁を建て、設備を収めている。床材は元からあったものを研磨しきれいにしている。
青木淳と西澤徹夫による今回のリノベーションでは、建物の周辺エリアとの融合がはかられ、鑑賞を目的にしていない人々も自由に通り抜けられる、開かれた美術館へと進化した。

「なかでも大事にしたのは、西側・神宮道側の前広場を広場として残すことと、この建築がもともと持っている西玄関から東玄関を貫く軸線を強めること」と青木淳は述べている(『像を重ねていく美術館』青木淳)。

青木が「大事にした」という広場の存在は、すでに界隈の人の流れを大きく変えつつある。建物正面の広場にはなだらかな傾斜がつけられ、周辺を散策する人々が自然と、新設された「ガラス・リボン」と呼ばれる地下エントランスへと吸い込まれていく。

リニューアルオープンの暁には、「西玄関から東玄関を貫く軸線」を開放。美術館を横断し、建物裏手にある日本庭園を抜けて隣接する動物園へと至る、魅力的なルートが生まれるはずだ。