ARCHITECTURE
坂 茂さん、プリツカー賞受賞おめでとうございます。
June 10, 2014 | Architecture | A Wall Newspaper | photo: Junpei Kato text: Naoko Aono
2014年度プリツカー賞を受賞した坂 茂。「まだ早い」と戸惑い気味の本人に聞いてみました。
建築界のノーベル賞”と言われるプリツカー賞。今年の受賞者、坂 茂は日本人では7人目、20年にわたる社会貢献活動が評価されての快挙だ。
「受賞の知らせは電話だったんですが、僕は以前、プリツカー賞の審査員をしていたので事務局の人とも普段からよく電話で話しているんです。だから最初は冗談だと思った(笑)。電話があったのは3月25日の公式発表の2か月ぐらい前。公式発表までは秘書以外には誰にも言うな、というのでとぼけるのが大変でした。でも率直に言って僕はまだプリツカー賞のレベルには達していない。今回の受賞はこれからも頑張れ、という意味だと解釈しています。おごらず、クオリティーを落とさないようにしながら真っすぐ走るだけです。
僕は建築家になったとき、建築が特権階級のためのものであることに気づいて愕然としました。モニュメンタルなものを作っているだけでは社会貢献できないのです。そこで人生で最も大変なときに問題解決をしてくれる医師や弁護士のように、自然災害などで家や家族を失い、精神的に大変な思いをしている人々のために働きたいと思った。仮設住宅や避難所でも余計な予算をかけずに美しくて心地いいものを作らなくてはならないと考えたのです。断熱性能や収納が十分でプライバシーが守れるような空間です。突然の災害で辛い思いをしている人こそ、快適な場所が必要なのですから。また仮設でも人に愛されれば、恒久的な建築になり得る。そんなふうにいつも、使う人に喜んでもらえる建築をめざしています。
実は賞金の10万ドルのうち、3分の1はもう使っちゃったんです(笑)。2011年の地震で被災したニュージーランドのクライストチャーチに昨年建てた紙のカテドラルが、緊急に補修が必要になったので、それにあてました。残りは、できれば長期的に役立てられるようにしたいと思っています」
「受賞の知らせは電話だったんですが、僕は以前、プリツカー賞の審査員をしていたので事務局の人とも普段からよく電話で話しているんです。だから最初は冗談だと思った(笑)。電話があったのは3月25日の公式発表の2か月ぐらい前。公式発表までは秘書以外には誰にも言うな、というのでとぼけるのが大変でした。でも率直に言って僕はまだプリツカー賞のレベルには達していない。今回の受賞はこれからも頑張れ、という意味だと解釈しています。おごらず、クオリティーを落とさないようにしながら真っすぐ走るだけです。
僕は建築家になったとき、建築が特権階級のためのものであることに気づいて愕然としました。モニュメンタルなものを作っているだけでは社会貢献できないのです。そこで人生で最も大変なときに問題解決をしてくれる医師や弁護士のように、自然災害などで家や家族を失い、精神的に大変な思いをしている人々のために働きたいと思った。仮設住宅や避難所でも余計な予算をかけずに美しくて心地いいものを作らなくてはならないと考えたのです。断熱性能や収納が十分でプライバシーが守れるような空間です。突然の災害で辛い思いをしている人こそ、快適な場所が必要なのですから。また仮設でも人に愛されれば、恒久的な建築になり得る。そんなふうにいつも、使う人に喜んでもらえる建築をめざしています。
実は賞金の10万ドルのうち、3分の1はもう使っちゃったんです(笑)。2011年の地震で被災したニュージーランドのクライストチャーチに昨年建てた紙のカテドラルが、緊急に補修が必要になったので、それにあてました。残りは、できれば長期的に役立てられるようにしたいと思っています」