地域を味わう〈ザ・レール・キッチン・チクゴ〉が福岡で運行開始! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

地域を味わう〈ザ・レール・キッチン・チクゴ〉が福岡で運行開始!

福岡県南部に位置する筑後地方。有明海に面した肥沃な筑紫平野によって農業漁業がともに盛んで、ものづくりにも恵まれた自然豊かな地だ。福岡から大牟田をゆっくりと移動する地域を味わう旅列車〈ザ・レール・キッチン・チクゴ〉は、この地の食と工芸を詰め込み、乗客を旅に誘う。

白い車体に赤いラインが描かれた可愛らしい車両が西日本鉄道(以下、西鉄)の大牟田駅に入線すると、見慣れぬ列車の登場に、ホームにいた人々が驚きの声をあげた。この列車が、3月23日から運行を開始した地域を味わう旅列車〈THE RAIL KITCHEN CHIKUGO(ザ・レール・キッチン・チクゴ)〉だ。西鉄天神大牟田線の西鉄福岡(天神)駅と大牟田駅を結ぶ特別な列車は、食事と車窓の風景を楽しみながら福岡県の南北をゆっくりと縦断する。

ゆったりとしたダイニング席が設けられた3両編成の車両は定員52人。金・土・日曜と祝日のみ運行し、西鉄福岡(天神)〜大牟田間で運転される特急列車の2倍を超える2時間半をかけて移動する。まずは西鉄福岡(天神)発のランチを提供する列車と、大牟田発のディナーを提供する列車の1日2便が運行され、6月1日からは西鉄福岡(天神)~太宰府間でブランチを提供する列車の運転も始まる予定だ。
赤い格子柄の外装はキッチンクロスをイメージしたもの。車内での食事の期待感を高めるとともに、清潔感を表現する。車両は3両編成52席。1号車と3号車を中心に客席を配置し、2号車にはピザを焼き上げる窯のあるオープンキッチンと一部の座席を用意する。
〈THE RAIL KITCHEN CHIKUGO〉のロゴや車両ごとにあしらわれた号車数など、文字のなかにも細かくグラフィックをあしらう。ここでも食をイメージさせるモチーフが描かれている。
車内は〈THE RAIL KITCHEN CHIKUGO〉の沿線にある地域の工芸品などをふんだんに用いる。天井は久留米市にある〈井上らんたい漆器〉の竹編み生地に不燃加工を施したパネルを、壁は同じく久留米市の城島瓦を使う。椅子とダイニングテーブルも家具作りで知られる大川市で制作した。
内壁の一部には鹿児島睦が制作したブリキパネルを設置。筑後川がモチーフとなっている。
赤い格子柄の外装はキッチンクロスをイメージしたもの。車内での食事の期待感を高めるとともに、清潔感を表現する。車両は3両編成52席。1号車と3号車を中心に客席を配置し、2号車にはピザを焼き上げる窯のあるオープンキッチンと一部の座席を用意する。
〈THE RAIL KITCHEN CHIKUGO〉のロゴや車両ごとにあしらわれた号車数など、文字のなかにも細かくグラフィックをあしらう。ここでも食をイメージさせるモチーフが描かれている。
車内は〈THE RAIL KITCHEN CHIKUGO〉の沿線にある地域の工芸品などをふんだんに用いる。天井は久留米市にある〈井上らんたい漆器〉の竹編み生地に不燃加工を施したパネルを、壁は同じく久留米市の城島瓦を使う。椅子とダイニングテーブルも家具作りで知られる大川市で制作した。
内壁の一部には鹿児島睦が制作したブリキパネルを設置。筑後川がモチーフとなっている。
食と風景を楽しむ列車は、その内外にさまざまなクリエイターが参加。地元の工芸品とともに地域の魅力を引き立てる。全体のプロデュースは飲食や宿泊施設のプロデュースなどで活躍する〈トランジットジェネラルオフィス〉によるものだ。緑豊かな筑後の風景に一際映える外装、そしてロゴを担当したのはグラフィックデザイナーの福岡南央子。キリンが販売する飲料〈世界のKitchenから〉のパッケージなどで活躍する福岡は、キッチンクロスをイメージして外装をデザインしたといい、食への期待と清潔感を表現した。

一方、誰かの家に招かれたかのように落ち着く車両のインテリアデザインは〈ランドスケーププロダクツ〉が担当した。椅子やテーブルは家具の町として知られる大川市で制作し、天井には八女の竹を使用した竹編み生地、壁面には久留米市で作られる城島瓦を矢絣状に貼っている。また壁の一部には、福岡に拠点をもつアーティスト、鹿児島睦が筑後川をモチーフとした図案を制作。こちらをブリキパネルにして設置した。内装の床に使用したテラゾーは、列車の敷石を散りばめて研いたオリジナルのもの。窓の向こうに広がる風景はもちろん、インテリアでも沿線の文化や魅力を感じながら、旅を楽しむことができる。
2号車に設置された窯でピザを焼くため、出来立ての食事を楽しめる。通路に面したオープンキッチンのため、乗客は作業風景をのぞくこともできる。
地元の小麦を使ったもちもちの生地に、八女市産のたけのこや大木町産のアスパラガスがふんだんにのる。
2号車に設置された窯でピザを焼くため、出来立ての食事を楽しめる。通路に面したオープンキッチンのため、乗客は作業風景をのぞくこともできる。
地元の小麦を使ったもちもちの生地に、八女市産のたけのこや大木町産のアスパラガスがふんだんにのる。
こうしたデザインもさることながら、驚くのは中央の2号車に「窯」を中心とした大型キッチンを設けたこと。列車に窯を設置した例は他になく、西鉄の強い挑戦心が感じられる。2時間半に及ぶ旅のなか、車内ではアミューズ、前菜、メインディッシュ、プティフルと食前食後のドリンクコースからなるコースを提供する。もちろん、ここでもふんだんに使われるのが沿線の食材だ。メインディッシュは窯料理で人気を集める〈エンボカ〉のシェフ、今井正が監修したピザ。またアミューズと前菜を監修するのは福岡在住の料理家、渡辺康啓だ。季節ごとの旬な食材を使うため、メニューは春(3〜5月)、夏(6〜8月)、秋(9〜11月)、冬(12月〜2月)と変化していくという。
地元のあまおうとトマトをバゲットにのせたタルティネは、北野町産のラディッシュ・バターが添えられている。器は〈翁明窯元〉の小石原焼を使用している。
博多和牛に有明海柳川産のお刺身海苔が載った和牛のロースト。セリとの相性も抜群だ。
食後のプティフルは持ち帰りもできる箱入り。福岡県うきは市の〈ミエル(miel)〉によるオリジナルの焼き菓子。
地元のあまおうとトマトをバゲットにのせたタルティネは、北野町産のラディッシュ・バターが添えられている。器は〈翁明窯元〉の小石原焼を使用している。
博多和牛に有明海柳川産のお刺身海苔が載った和牛のロースト。セリとの相性も抜群だ。
食後のプティフルは持ち帰りもできる箱入り。福岡県うきは市の〈ミエル(miel)〉によるオリジナルの焼き菓子。
運行開始時の春メニューは、地元のあまおうとトマトを使ったタルティネ、みやま市産のセロリなどを使った野菜のプレート、博多和牛に有明海柳川産のお刺身海苔を載せた一皿などで構成される。メインディッシュのピザは八女市産のたけのこや大木町産のアスパラガスをふんだんに使用し、地元の小麦を使った生地はもちもちとした歯ごたえが特徴的だ。

フードに加えてドリンクも地元産にこだわり、ウェルカムドリンクでは〈あまおうプレミアムスパークリングワイン〉や地元産のフルーツジュースが提供される他、食事中のドリンクには沿線地域の地酒や果実酒、八女茶などを揃える。食後には八女の〈中村園〉で育てられたハーブから好みで選べるブレンドハーブティと、久留米の人気ロースター〈コーヒー カウンティ〉がセレクトしたオリジナルブレンドから。食後のプティフルは車両を模した箱に入って提供される。福岡県南東部のうきは市吉井町で人気を集める〈ミエル(miel)〉のオリジナルの焼き菓子も、もちろん沿線地域の食材によるものだ。
ビル街や住宅地を抜け、緑が美しい田畑を抜けて列車は終着地を目指す。特急の2倍以上の時間をかけてゆっくり運行するため、のんびりと風景とともに食事を楽しむことができる。
沿線にある保育園では通過時に園児が手を振ってくれた。
ビル街や住宅地を抜け、緑が美しい田畑を抜けて列車は終着地を目指す。特急の2倍以上の時間をかけてゆっくり運行するため、のんびりと風景とともに食事を楽しむことができる。
沿線にある保育園では通過時に園児が手を振ってくれた。
地域密着型の西鉄ゆえ、〈THE RAIL KITCHEN CHIKUGO〉は住宅街を抜け、田畑を抜けて進んでいく。格子状の窓はまるで家のなかにいるように思えるが、ゆっくりと風景が変わっていく様はどこか不思議な感覚を乗客にもたらすことだろう。いくつもの街を抜けつつ、その周辺の市町村からもふんだんに魅力を集めた観光列車。土地の魅力を学びながらのんびりと移動する贅沢な旅は始まったばかりだ。
車内ではオリジナルのグッズも販売。オリジナルタンブラー(1,300円)。
走る電車型キーホルダー(700円)。
車内ではオリジナルのグッズも販売。オリジナルタンブラー(1,300円)。
走る電車型キーホルダー(700円)。

地域を味わう旅列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」

西鉄福岡(天神)駅から大牟田駅へ向かう「ランチの旅」、大牟田駅から西鉄福岡(天神)駅へ向かう 「ディナーの旅」、どちらも所要時間は約 2 時間半で料金は、8,000円(税抜)。