ART
別府の記憶を甦らせる塩田千春のアート|青野尚子の今週末見るべきアート
September 2, 2022 | Art, Travel | casabrutus.com | text_Naoko Aono ©JASPAR, Tokyo, 2022 and Chiharu Shiota 撮影:サニー・マン ©混浴温泉世界実行委員会
かつては多くの人が行き交った建物に糸が張り巡らされ、水が滴る。大分・別府で開かれている塩田千春のアートは、湯けむりの向こうで幻想的な景色を見せてくれます。
毎年個展形式で開かれる芸術祭「in BEPPU」やアート・ホテル〈ガレリア御堂原〉など、温泉だけでなくアートでも盛り上がる別府。今年は大分県が「東アジア文化都市」に選定され、そのコア事業として『塩田千春展 巡る記憶』が開かれている。
「東アジア文化都市」とは日本・中国・韓国の3ヶ国でそれぞれ1都市が選定され、文化芸術イベントなどを開催するというもの。大分県では糸や鍵、船やピアノなどを素材にした大がかりな作品で知られるアーティスト、塩田千春の個展を開催することになった。塩田は別府の街中で2つの建物を会場に選び、観客を包み込むようなインスタレーションを設置している。
「東アジア文化都市」とは日本・中国・韓国の3ヶ国でそれぞれ1都市が選定され、文化芸術イベントなどを開催するというもの。大分県では糸や鍵、船やピアノなどを素材にした大がかりな作品で知られるアーティスト、塩田千春の個展を開催することになった。塩田は別府の街中で2つの建物を会場に選び、観客を包み込むようなインスタレーションを設置している。
会場の一つは〈BEP.Lab〉。もともとは小麦粉や砂糖などを扱う卸問屋「草本商店」の倉庫だった建物だ。小さな階段を上っていくと白い糸が張り巡らされているのが目に入る。畳敷きの和室に入ると、床には水がたたえられている。どっしりとした梁や襖のある日本家屋の中に水盤がある、その意外な光景に驚かされる。
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illustration Yoshifumi Takeda
青野尚子
あおのなおこ ライター。アート、建築関係を中心に活動。共著に『新・美術空間散歩』(日東書院新社)、『背徳の西洋美術史』(池上英洋と共著、エムディエヌコーポレーション)、『美術でめぐる西洋史年表』(池上英洋と共著、新星出版社)。
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