え!? nendoがエッシャーとコラボ…? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

え!? nendoがエッシャーとコラボ…?

『カーサ ブルータス』2019年2月号より

M・C・エッシャーとネンド。時代もジャンルも異なる2組による展覧会について、佐藤オオキが語る。

長さ21Mの家型オブジェ。手前は高さ4Mだが、奥はわずか50cmと奥に進むほど低くなり、パースペクティブをさらに強調させてみせている。
2018年、生誕120周年を迎えたオランダの版画家、M・C・エッシャー。

平面から立体へと展開し、現実にはない不思議な世界を描いていくエッシャーの作品は、時を超え現代にも多くの人々を魅了する。そんな世紀のアーティストとの競演に挑んだのが、佐藤オオキ率いるネンドだ。
絵から抜け出たトカゲが歩みを続けるエッシャーの「Reptiles March 1943」から発想を得て、ネンドは絵から飛び出す家をモチーフとして製作した。
絵から抜け出たトカゲが歩みを続けるエッシャーの「Reptiles March 1943」から発想を得て、ネンドは絵から飛び出す家をモチーフとして製作した。
オーストラリア・メルボルンのビクトリア国立美術館で開催中の『Escher × nendo ¦ Between Two Worlds』展では、150点あまりのエッシャーの絵とともに、ネンドがオリジナルで手がけた空間デザインが作品として会場を彩る。

「美術的な解釈にとらわれず、自身の感覚でエッシャーの思想と対話することに集中しました」
表は白、裏を黒に塗り分けた平たい家を55,000個吊した直径5Mのオブジェ。一部を反転させることで中央に立体的な家型が浮かび上がる。
表は白、裏を黒に塗り分けた平たい家を55,000個吊した直径5Mのオブジェ。一部を反転させることで中央に立体的な家型が浮かび上がる。
部分的に折れ曲がったり、途切れたりする黒い柱を不規則に並べ、そこに浮遊するようにエッシャー作品を展示。見るポイントに応じて、黒い柱が家型となって現れる。
表は白、裏を黒に塗り分けた平たい家を55,000個吊した直径5Mのオブジェ。一部を反転させることで中央に立体的な家型が浮かび上がる。
表は白、裏を黒に塗り分けた平たい家を55,000個吊した直径5Mのオブジェ。一部を反転させることで中央に立体的な家型が浮かび上がる。
部分的に折れ曲がったり、途切れたりする黒い柱を不規則に並べ、そこに浮遊するようにエッシャー作品を展示。見るポイントに応じて、黒い柱が家型となって現れる。
エッシャーの作風は、数学や建築のアプローチにも似て、一つのシンプルな技法からいくつもの解答が現れ、いくら眺めていても飽きることがないと言う佐藤オオキ。本展では、エッシャーの作品に登場する人や動物、虫などのアイコンが作品の案内役のように描かれていることを受け、会場の案内役として「家型」のモチーフをアイコン化。それが展示に合わせるように次々に変化し、ネンドのスマートでウィットに富んだ表現とエッシャーの絵が呼応する。
次第に開く屋根が、また別の家型へと転じる。
「エッシャーの作品は3次元を2次元で描いているため、会場は逆に2次元を3次元で表現しました」

ネンドが手がけた圧巻の会場構成に、作品の所蔵元であるオランダのエッシャー財団も感動の言葉を漏らしたとか。

同展は4月までの長期開催なので、メルボルンに出かけた際は忘れずに訪れたい。

『Escher x nendo | Between Two Worlds』展

〈NGV International〉180 St Kilda Road, Melbourne Australia TEL (61)3 8620 2222。〜4月7日。10時〜17時。不定休。入場料28ドル。

佐藤オオキ 

1977年カナダ生まれ。2002年早稲田大学大学院理工学研究科建築学専攻修了。同年ネンドを設立。昨年4月に初の絵本『コップってなんだっけ?』(ダイヤモンド社)を上梓。