『暮しの手帖』を作りあげた花森安治。その仕事に迫る展覧会が開かれます。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

『暮しの手帖』を作りあげた花森安治。その仕事に迫る展覧会が開かれます。

日本におけるライフスタイル誌の元祖ともいうべき『暮しの手帖』。その初代編集長・花森安治の足跡を辿る展覧会が、2月11日から世田谷美術館で開催。ジャーナリズムと芸術性の両輪で、市井の人々に“豊かで美しい暮らし”を提案し続けた編集者の姿に迫る。

編集部の花森安治、1972年、写真提供:暮しの手帖社
2016年上半期に放映され、人気を博したNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』。ヒロイン常子(モデルは大橋鎭子)が立ち上げる出版社が暮しの手帖社、仕事のパートナーとなる花山伊佐次のモデルが、花森安治であることはよく知られている。
『美しい暮しの手帖』1世紀1号(創刊号)、発行:衣裳研究所、1948年9月20日刊、暮しの手帖社蔵。暮しの手帖社では、創刊号から100号までを1世紀、以降100号ごとに2世紀、3世紀と表記している。
『美しい暮しの手帖(現・暮しの手帖)』が創刊されたのは、終戦間もない1948年9月のこと。衣食住に事欠く時代だからこそ、知恵と工夫で暮らしを豊かにする提案をしていこうと刊行したという。その後、78年に66歳で亡くなるまでの30年間、取材・執筆はもちろん、表紙画や誌面レイアウト、広告デザインまで幅広く手がけたのが初代編集長・花森安治だ。『暮しの手帖』のあの独特の優しく語りかけるような文体も、消費者の立場に立って日用品を厳しく実証する「商品テスト」(現在は行われていない)も、広告を載せないことで独立した立場を貫く姿勢も、彼が作りあげたものである。
中吊り広告「暮しの手帖1世紀 99号」、デザイン:花森安治」、1969年2月1日刊行用、世田谷美術館蔵
『花森安治の仕事ーデザインする手、編集長の眼』と題された今展では、花森が遺した約750点の資料を展示。学生時代、戦時下、暮しの手帖社時代など全6章で構成する。中でも必見は、約30年間を4つの時期に分けて紹介した第3章の「暮しの手帖社の花森安治」と、彼の愛用品などを集めた第6章「花森安治の『あいうえお・もの図鑑』」。前者では、バックナンバーからいくつかの誌面を選んで紹介するとともに、表紙の原画や写真、花森の自筆原稿など、稀少な資料が揃う。
暮しの手帖社内で使っていたシンガー社製のミシン、暮し手帖社蔵
本当の意味での“豊かで美しい暮らし”とは何なのか? 稀代の編集者の仕事には、さまざまなメッセージが込められている。ともすれば日常に流されてしまいがちな日々の暮らしの中、ふと足をとめに出かけてみるのもいいだろう。

花森安治の仕事ーデザインする手、編集長の眼

〈世田谷美術館〉

東京都世田谷区砧公園1-2
TEL 03 5777 8600(ハローダイヤル)。2月11日〜4月9日。10時〜18時。月曜休(3月20日は開館し、翌21日休館)。1000円。公式サイト

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