VEHICLE
Chill CARS|素朴さが新鮮な、小さなステーションワゴン。
『カーサ ブルータス』2021年10月号より
| Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Izuru Endo illustration_Daijiro Ohara
1945年に第二次世界大戦が終了し、多くの国が経済的に疲弊した。イタリアでは、復興に向け戦前型のトラックや小型車の生産を再開。1950年代に入ると、戦前設計の古いクルマに代わり、新世代の戦後型モデルが生まれはじめた。
そんな中〈フィアット〉は、傑作大衆車《500》を1957年に発表。《500》は極めて簡潔なクルマだったが、それゆえ安価で、修理や運転がしやすく、燃費も良いことから、イタリアだけでなく欧州全体でも大ヒットを記録した。
しかし《500》は後席空間もトランクも広くなかったため、夏のバカンスで家族と荷物を載せるには狭すぎた。そこで、車体を延長した《500 ジャルディニエラ》というステーションワゴンを1960年に追加。小さな多目的車として、長年にわたり一定の人気を保った。
とはいえベースがシンプルで最小限な設計の《500》であることに変わりはないため、装備は必要最低限で、小さなエンジンはこのクルマをのんびりと加速させた。曲線を多用した餅のような外装、余計な要素がない内装デザインも、尖ったクルマが多い昨今では、目と心に優しく映る。
このように《500 ジャルディニエラ》は極めて素朴なクルマである。逆に言えば、これほど原始的なクルマも、二度と輩出されることはない。その清々しいまでの素朴さは、快適で高性能なクルマが走る21世紀の路上では、むしろ魅力として感じられるのだ。
しかし《500》は後席空間もトランクも広くなかったため、夏のバカンスで家族と荷物を載せるには狭すぎた。そこで、車体を延長した《500 ジャルディニエラ》というステーションワゴンを1960年に追加。小さな多目的車として、長年にわたり一定の人気を保った。
とはいえベースがシンプルで最小限な設計の《500》であることに変わりはないため、装備は必要最低限で、小さなエンジンはこのクルマをのんびりと加速させた。曲線を多用した餅のような外装、余計な要素がない内装デザインも、尖ったクルマが多い昨今では、目と心に優しく映る。
このように《500 ジャルディニエラ》は極めて素朴なクルマである。逆に言えば、これほど原始的なクルマも、二度と輩出されることはない。その清々しいまでの素朴さは、快適で高性能なクルマが走る21世紀の路上では、むしろ魅力として感じられるのだ。
country: Italy
year: 1960-77
seats: 4
size: L3,185×W1,323×H1,354mm
price: approx 2,500,000 yen
special thanks to gattina TEL 0466 33 1122
※データと価格は、撮影車両を参考に算出したものです。
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