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Chill CARS|大衆車本来の魅力に、立ち返らせてくれるクルマ。

『カーサ ブルータス』2021年3月号より

| Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako   text_Fumio Ogawa   illustration_Daijiro Ohara

大きな自動車メーカーは、幅広い商品レンジを持つ。中でも販売台数が多い大衆車は、その評判が会社の経営を左右するほどに重要な役目を持つが、流行や実用度、耐久性など、求められる要件が多い。

シトロエン AX (GT)
シトロエン AX (GT)
フランスの〈シトロエン〉も、創業以来大衆車を数多く生み出している。代表作が、戦後間もなく誕生した《2CV》だ。最低限の装備にもかかわらず、車内も広く乗り心地が良かった《2CV》は、なんと1980年代末まで作られた。しかも後継車の《LN》などをも差し置いて、同社の最廉価車のポジションを守り続けていた。

それらを更新するために1986年に登場した《AX》は、偉大な大衆車《2CV》を継ぐ大役を果たすべく、力を込めて開発された。全長3.5mの小さな車体には、大人4人が乗れる十分な室内空間があり、優れた空力性能により燃費も良い。スポイラー類とスポーティな性格を持ったGT仕様も用意され、軽量でキビキビと走る《AX》のイメージを高めた。

《AX》のエクステリアは、余計な抑揚がなく、潔い。装備も必要最小限で、樹脂の質感そのままの内装も、大衆車なのだからラグジュアリーを目指す必要はない、と高らかに謳う。高級化が進み、デザインが大仰になりつつある現代の大衆車に、「シンプルであれ」と語りかけているかのようだ。21世紀の今、改めて《AX》に乗ると、軽く、小さく、そして質素という、大衆車本来の魅力に気づかされるのである。
開口部が上下に小さなグリル、角型のヘッドライトは1980年〜90年代の〈シトロエン〉共通のフェイス。
開口部が上下に小さなグリル、角型のヘッドライトは1980年〜90年代の〈シトロエン〉共通のフェイス。
ダッシュボードの樹脂は決して上質な素材とは言えないが、高級車を目指さない《AX》にはこれで良い。
ダッシュボードの樹脂は決して上質な素材とは言えないが、高級車を目指さない《AX》にはこれで良い。
軽自動車+10cmほどのコンパクトな車体でも、後席の居住空間は十分に確保されている。
軽自動車+10cmほどのコンパクトな車体でも、後席の居住空間は十分に確保されている。
明快な直線で構成されているリアビュー。
明快な直線で構成されているリアビュー。
開口部が上下に小さなグリル、角型のヘッドライトは1980年〜90年代の〈シトロエン〉共通のフェイス。
ダッシュボードの樹脂は決して上質な素材とは言えないが、高級車を目指さない《AX》にはこれで良い。
軽自動車+10cmほどのコンパクトな車体でも、後席の居住空間は十分に確保されている。
明快な直線で構成されているリアビュー。

country: France
year: 1986-98
seats: 5
size: L3,495×W1,595×H1,340mm
price: approx 900,000 yen

special thanks to_AZ auto(TEL 045 534 9111)
※データと価格は撮影車両を参考に算出したものです。

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