DESIGN
nendo初の鉄道デザイン! 佐藤オオキが語る、「流れる川」をテーマにしたフランス高速鉄道デザインの舞台裏。
『カーサ ブルータス』2025年5月号より
| Design | a wall newspaper | photo_Yuji Ono text_Izumi Fily-Oshima
nendoがデザインしたフランスの高速鉄道がパリでお披露目! 車両デザインの舞台裏を代表の佐藤オオキに聞きました。
フランスを代表する超高速列車「TGV(テージェーヴェー)」が、新たな進化を遂げようとしている。最新車両となる5代目が、来年から運行予定だ。SNCF Voyageurs(フランス国鉄)とアルストムが共同開発し、デザインを手がけたのは佐藤オオキ率いるnendo。TGVのデザインを国外企業が担当するのは初めてで、nendoにとっても初の車両デザインとなる。
「鉄道は自動車や飛行機と異なり、地形に沿って川のように走ります。そこで “フロー(流れ)” をコンセプトに、なめらかなラインや深度、川の泡、小石、水面の浮遊感などのモチーフを取り入れました。省エネや座席数の増加、軽量化、荷重バランスの調整、資材の強化など技術的な要件は多岐にわたりましたが、それらをクリアしながら、自然の要素を生かし、柔らかさや快適性を感じられるデザインを目指しました」と佐藤。
「鉄道は自動車や飛行機と異なり、地形に沿って川のように走ります。そこで “フロー(流れ)” をコンセプトに、なめらかなラインや深度、川の泡、小石、水面の浮遊感などのモチーフを取り入れました。省エネや座席数の増加、軽量化、荷重バランスの調整、資材の強化など技術的な要件は多岐にわたりましたが、それらをクリアしながら、自然の要素を生かし、柔らかさや快適性を感じられるデザインを目指しました」と佐藤。
車内は、1等車がレッド系、2等車がブルー系で統一。外観の白と合わせ、フランス国旗のトリコロールを表現した。窓下のラインと同じ高さで色の分割線を引き、空間の一体感と広がりを演出。座席のヘッドレスト、コートフック、リーディングライト、車内サイネージなどのディテールは、小石をイメージした柔らかなフォルムで統一されている。
「ビストロ」と名づけられた食堂車は、1階が売店、2階がラウンジという構成。1階は客室車両と同様に「水平線」を意識したカラーリングで統一した一方で、2階ラウンジには河原の小石を思わせる大小さまざまなベンチやクッションをランダムに配し、一人でも複数人でもくつろげるスペースへ。
最高時速300kmを超えるスピードで走りながらも、ゆったり過ごせる空間を実現。フランスの新たな鉄道デザインとして、多くの人に愛されること間違いなしだ。
「ビストロ」と名づけられた食堂車は、1階が売店、2階がラウンジという構成。1階は客室車両と同様に「水平線」を意識したカラーリングで統一した一方で、2階ラウンジには河原の小石を思わせる大小さまざまなベンチやクッションをランダムに配し、一人でも複数人でもくつろげるスペースへ。
最高時速300kmを超えるスピードで走りながらも、ゆったり過ごせる空間を実現。フランスの新たな鉄道デザインとして、多くの人に愛されること間違いなしだ。
佐藤オオキ
さとうおおき 1977年カナダ生まれ。nendo代表。プロダクトから家具や建築に至るまで、幅広く手がける。2021年東京五輪の聖火台のデザインを担当。2025年大阪・関西万博日本館総合プロデューサー/総合デザイナー。
