CULTURE
追悼:エリック・カール|黄色い太陽のように笑う、絵と色を楽しむ優しい人。
『カーサ ブルータス』2021年8月号より
| Culture, Design | a wall newspaper | photo_Wataru Kitao text_Keiko Kamijo
「色彩の魔術師」エリック・カールとツペラ ツペラ。作品を通して交流したクリエイターからのメッセージ。
『はらぺこあおむし』『パパ、お月さまとって!』など、70冊以上の絵本を出版し、世界中で親しまれた作家エリック・カールが5月23日に、家族に見守られながら91歳で息を引き取った。
鮮やかな色がはじけるように踊る画面、リズミカルな言葉、動物や虫などのダイナミックなキャラクター……。開くだけでエネルギーをもらえるエリック・カールの作品は、日本でも多くの人に親しまれ、昨年には〈PLAY! MUSEUM〉で『エリック・カール:遊ぶための本』という、創作を紐解く展示も行われたばかりだ。その展示と同時期に展覧会『tupera tuperaのかおてん.』を行っていた絵本作家のツペラ ツペラに、あらためて彼自身やエリック・カール作品の魅力を語っていただいた。
鮮やかな色がはじけるように踊る画面、リズミカルな言葉、動物や虫などのダイナミックなキャラクター……。開くだけでエネルギーをもらえるエリック・カールの作品は、日本でも多くの人に親しまれ、昨年には〈PLAY! MUSEUM〉で『エリック・カール:遊ぶための本』という、創作を紐解く展示も行われたばかりだ。その展示と同時期に展覧会『tupera tuperaのかおてん.』を行っていた絵本作家のツペラ ツペラに、あらためて彼自身やエリック・カール作品の魅力を語っていただいた。
「エリック・カールさんの存在はもちろん知っていましたが、特に熱心に読んでいたわけではありません。でも、絵本『木がずらり』(ブロンズ新社)を出した時、『エリック・カールの絵本に似てる』と周りから言われて。カラフルな作風で同じ貼り絵の手法だったからだと思うのですが、そう言われると逆に見ないでおこうと思ったくらいです(笑)」と亀山達矢。
しかし、その10数年後、雑誌の企画を通じてエリック・カールとの距離がグッと縮まることになる。お互いの作品をテーマにして創作を交換し合うことになったのだ。ツペラ ツペラは『はらぺこあおむし』を題材に、『にちにち らんらん』という絵本を生み出した。
「あらためて読んでみたら、すごいんですよ。まず驚いたのが、生命力の豊かさ。あおむしがいろんなものを食べて成長する。その様子を “穴” という仕掛けで見事に表現していました」と亀山。
「エリック・カールさんの切り絵は、紙一枚を切って重ねただけでも動きや空気感がとても出ています。“にちにち らんらん”は、造語で光り輝く日々という意味なので、私たちもそれを表現するのに光を透かすグラシン紙を使ってみました。私たちは普段透ける紙は使わないので、新鮮な体験でした」と中川敦子。
しかし、その10数年後、雑誌の企画を通じてエリック・カールとの距離がグッと縮まることになる。お互いの作品をテーマにして創作を交換し合うことになったのだ。ツペラ ツペラは『はらぺこあおむし』を題材に、『にちにち らんらん』という絵本を生み出した。
「あらためて読んでみたら、すごいんですよ。まず驚いたのが、生命力の豊かさ。あおむしがいろんなものを食べて成長する。その様子を “穴” という仕掛けで見事に表現していました」と亀山。
「エリック・カールさんの切り絵は、紙一枚を切って重ねただけでも動きや空気感がとても出ています。“にちにち らんらん”は、造語で光り輝く日々という意味なので、私たちもそれを表現するのに光を透かすグラシン紙を使ってみました。私たちは普段透ける紙は使わないので、新鮮な体験でした」と中川敦子。
二人が口を揃えて言うのは、原画が素晴らしいということ。〈PLAY! MUSEUM〉の展示の時も、目を凝らしてじっくり見たという。
「切り方がダイナミックで気持ちいい。きっと自分で塗った紙を見ながら『この部分は葉っぱに使える』などの発見を楽しんでいたんだと思います」と中川。
「楽しんでものづくりをしていたことが原画から伝わってきました。同じクリエイターとして共感する部分がたくさんあります」と亀山。
遺された作品たちから受け取れるものはまだまだありそうだ。ありがとう、エリック・カールさん。
「切り方がダイナミックで気持ちいい。きっと自分で塗った紙を見ながら『この部分は葉っぱに使える』などの発見を楽しんでいたんだと思います」と中川。
「楽しんでものづくりをしていたことが原画から伝わってきました。同じクリエイターとして共感する部分がたくさんあります」と亀山。
遺された作品たちから受け取れるものはまだまだありそうだ。ありがとう、エリック・カールさん。
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