ドローイングを通して知る、リナ・ボ・バルディという建築家。
世界中からその作品と人柄を愛され、イタリア生まれながらブラジルで活躍した建築家、リナ・ボ・バルディ。彼女がその生涯に渡って描き続けたオリジナル・ドローイング約100点を集めた貴重な展覧会がバルセロナの〈ジョアン・ミロ美術館〉にて開催中だ。
とはいえ、もちろんリナ・ボ・バルディは建築家としてその名を広く知られているのであって、人々は彼女の建築の素晴らしさゆえに彼女のドローイングに興味を持つのではあるが、実はその経歴的な順番から言えば、彼女は建築家である前にグラフィック・デザインやイラストレーションを描くことを学び、ブラジルに渡る前に『ドムス』などをはじめとするいくつかの雑誌に携わる編集者兼イラストレーターとして活躍していた。
つまり、一般的に建築家たちが「図面的な手段」の一端として絵を描くのとは異なり、彼女にとっては、メディアのために絵を描くというキャリアが、建築家となる前にすでに確立されていたのだ。
彼女はその多様なキャリアゆえに、ひとつのプロジェクトに対して、建築家というひとつの職能を超えて全面的に関わることができた。彼女の建築の代表作である〈サンパウロ美術館MASP〉や〈SESCポンペイア文化センター〉において、彼女はその建物のデザインだけでなく、当時そこで行われた展示の企画から空間デザイン、各種ロゴやポスターなどグラフィック・デザインに至るまでのあらゆる仕事を行っている。その多才さ、全能さにはただ目を見張るばかりだが、それ以上に驚かされるのは、彼女のドローイングの中にそれらの包括的な視点が愛情を込めて緻密に表現されているという事実である。彼女はそこで行われるあらゆるスケールの「出来事」を想像しようとし、それらの仕事に人生をかけて携わった。
『リナ・ボ・バルディ描く(Lina Bo Bardi dibuixa)』展
〈ジョアン・ミロ美術館〉
Parc de Montjuïc 08038 Barcelona TEL +34 934 439 470。〜2019年5月26日。3月末日まで火曜〜土曜日10時から18時、日曜日10時から15時まで開館、4月以降は、火曜〜土曜日10時から20時、日曜日10時から18時まで開館。入場料7ユーロ。15歳以下の子供は入場無料。月曜休館。