明治維新を生き抜いた知られざる絵師《見たて似たかきん魚》|ニッポンのお宝、お蔵出し | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

明治維新を生き抜いた知られざる絵師《見たて似たかきん魚》|ニッポンのお宝、お蔵出し

金魚や猫、鳥に人間の顔をつけたり擬人化したり。キモかわいいキャラクターは幕末から明治にかけて活躍した絵師、落合芳幾によるもの。知られざる絵師の初めての本格的な展覧会が開かれています。

《見たて似たかきん魚》動物の擬人化は師、歌川国芳ゆずりだが、芳幾も負けてはいない。太田記念美術館蔵。
《見たて似たかきん魚》右下で亀がにらみをきかせている。太田記念美術館蔵。
《見立似たかきん魚》中央のナマズも人気歌舞伎役者の顔だ。太田記念美術館蔵。
《見たて似たかきん魚》動物の擬人化は師、歌川国芳ゆずりだが、芳幾も負けてはいない。太田記念美術館蔵。
《見たて似たかきん魚》右下で亀がにらみをきかせている。太田記念美術館蔵。
《見立似たかきん魚》中央のナマズも人気歌舞伎役者の顔だ。太田記念美術館蔵。
日本美術、特に絵画は傷みやすいため、西洋美術と違って限られた期間にしか公開されません。ルーヴル美術館の《モナ・リザ》のようにいつもそこにあるわけではないので、展示されるチャンスを逃さないようにしたいもの。本連載では、今見るべき日本美術の至宝をご紹介!

今回のお宝:落合芳幾《見たて似たかきん魚》
お宝ポイント:知られざる絵師、落合芳幾。師匠・歌川国芳ゆずりの遊び心。
公開期間:公開中〜8月26日
公開場所:東京〈太田記念美術館〉


顔が人間、体は金魚という“人面魚”。幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師、落合芳幾の描いたものだ。顔は人気の歌舞伎役者、体の模様は役者の紋になっている。芳幾は奇想の絵師として知られる歌川国芳の弟子。この金魚にも師、国芳の影響が見られる。
《与ハなさけ浮名の横ぐし》歌舞伎役者を猫の顔で表現。猫なのに役者の個性が描き分けられているのはさすがだ。個人蔵。
顔が猫になった人間の絵も歌舞伎役者のもの。歌川国芳は「天保の改革」で役者絵が禁じられたとき、着物を着た猫を人気役者に似せて描いた。これならお上にとがめられても「猫ですから」と言い逃れができる。芳幾の時代にはそんな禁制もなかったが、師匠ゆずりの遊び心が伺える。
《龍宮の日待》。海の生き物たちが宴会を繰り広げる。蛸は8本の足で器用に楽器を操り、フグはふくれたお腹で腹鼓を打つ。個人蔵。
《諸鳥芸づくし》。オウムは声色を使い、フクロウはにらみをきかせる、というように鳥の習性や名前から着想した動作で描かれる。右下の雀が踊っているのは「雀百まで踊り忘れず」からきたものか。中央に鳥ではないコウモリがいるのはご愛敬。太田記念美術館蔵。
《龍宮の日待》。海の生き物たちが宴会を繰り広げる。蛸は8本の足で器用に楽器を操り、フグはふくれたお腹で腹鼓を打つ。個人蔵。
《諸鳥芸づくし》。オウムは声色を使い、フクロウはにらみをきかせる、というように鳥の習性や名前から着想した動作で描かれる。右下の雀が踊っているのは「雀百まで踊り忘れず」からきたものか。中央に鳥ではないコウモリがいるのはご愛敬。太田記念美術館蔵。
落合芳幾は天保4年(1833年)に生まれ、17歳の頃、歌川国芳に入門した。安政元年(1854年)ごろから単独で作品を発表。武者絵、役者絵、戯画などさまざまなジャンルで活躍し、とくに歌舞伎などの流血や殺人といった残酷な場面を扱った「血みどろ絵」と呼ばれる絵で同じく国芳の弟子、月岡芳年と人気を二分するほどの売れっ子だった。