ART
明治維新を生き抜いた知られざる絵師《見たて似たかきん魚》|ニッポンのお宝、お蔵出し
August 16, 2018 | Art | casabrutus.com | text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
金魚や猫、鳥に人間の顔をつけたり擬人化したり。キモかわいいキャラクターは幕末から明治にかけて活躍した絵師、落合芳幾によるもの。知られざる絵師の初めての本格的な展覧会が開かれています。
日本美術、特に絵画は傷みやすいため、西洋美術と違って限られた期間にしか公開されません。ルーヴル美術館の《モナ・リザ》のようにいつもそこにあるわけではないので、展示されるチャンスを逃さないようにしたいもの。本連載では、今見るべき日本美術の至宝をご紹介!
今回のお宝:落合芳幾《見たて似たかきん魚》
お宝ポイント:知られざる絵師、落合芳幾。師匠・歌川国芳ゆずりの遊び心。
公開期間:公開中〜8月26日
公開場所:東京〈太田記念美術館〉
顔が人間、体は金魚という“人面魚”。幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師、落合芳幾の描いたものだ。顔は人気の歌舞伎役者、体の模様は役者の紋になっている。芳幾は奇想の絵師として知られる歌川国芳の弟子。この金魚にも師、国芳の影響が見られる。
今回のお宝:落合芳幾《見たて似たかきん魚》
お宝ポイント:知られざる絵師、落合芳幾。師匠・歌川国芳ゆずりの遊び心。
公開期間:公開中〜8月26日
公開場所:東京〈太田記念美術館〉
顔が人間、体は金魚という“人面魚”。幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師、落合芳幾の描いたものだ。顔は人気の歌舞伎役者、体の模様は役者の紋になっている。芳幾は奇想の絵師として知られる歌川国芳の弟子。この金魚にも師、国芳の影響が見られる。
顔が猫になった人間の絵も歌舞伎役者のもの。歌川国芳は「天保の改革」で役者絵が禁じられたとき、着物を着た猫を人気役者に似せて描いた。これならお上にとがめられても「猫ですから」と言い逃れができる。芳幾の時代にはそんな禁制もなかったが、師匠ゆずりの遊び心が伺える。
落合芳幾は天保4年(1833年)に生まれ、17歳の頃、歌川国芳に入門した。安政元年(1854年)ごろから単独で作品を発表。武者絵、役者絵、戯画などさまざまなジャンルで活躍し、とくに歌舞伎などの流血や殺人といった残酷な場面を扱った「血みどろ絵」と呼ばれる絵で同じく国芳の弟子、月岡芳年と人気を二分するほどの売れっ子だった。
Loading...
illustration Yoshifumi Takeda
青野尚子
あおの なおこ ライター。アート、建築関係を中心に活動。共著に「新・美術空間散歩」(日東書院本社)。西山芳一写真集「Under Construction」(マガジンハウス)などの編集を担当。