田根剛が手がけた食の複合空間〈GYRE.FOOD〉、その全貌をリポート! | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

田根剛が手がけた食の複合空間〈GYRE.FOOD〉、その全貌をリポート!

1月10日、東京・表参道の〈GYRE〉4階にグランドオープンした食の複合空間〈GYRE.FOOD〉。「SHOP & THINK」をテーマに、建築家・田根剛をはじめ様々なクリエイターの想いと技術が結集した空間だ。その全貌をリポートします。

●GYRE4階が、1000㎡の巨大飲食スペースにリニューアル。

〈GYRE.FOOD〉を手がけたクリエイターたち。左から総合ディレクターの平尾香世子、フードディレクションを担当する信太竜馬、建築家の田根剛、全体の運営を行う田中開、グロッサリーショップ〈eatrip.soil〉を担当する野村友里。
〈GYRE〉4階をフロア丸々使って展開する〈GYRE.FOOD〉。足を踏み入れた瞬間、植物と土の空間が広がる。
床にも壁にも土を塗り込めた巨大な空間に、わさわさと自由に生い茂る緑。木々に囲まれた森の中のような場所で楽しそうに食事をするグループ、大木の切り株のようなスツールでコーヒーを飲みながら読書をしている人……。いろんな人がいろんな過ごし方をしているこちらは、表参道の商業施設〈GYRE〉の4階に、1月10日にグランドオープンを迎えた〈GYRE.FOOD〉だ。

スペースは、フレンチのメゾン「élan (エラン)」、カジュアルなオールデイ・ダイニング「EUREKA(ユーリカ)」、バー「fünklein(フュンクライン)」、グロッサリーショップ「eatrip soil(イートリップ・ソイル)」と、大きく4つのセクションに分かれる。ダイニングでバーのカクテルを注文もでき、垣根なく自由に楽しめるのが大きな特徴だ。表参道沿いの商業ビル、それも地上4階のワンフロアを大量の土で覆う大胆なプランは、このスペースのコンセプトから生まれてきたもの、と田根が話す。

●土と緑に囲まれて、食について考える。

多くの植栽と土壁が印象的な空間。こちらはオールデイダイニングの〈EUREKA〉。
「コンセプトを考えた平尾さんや野村さんに加え、全体の運営を行う田中開さん、〈élan〉を立ち上げ、〈EUREKA〉のフードディレクションを担当する信太竜馬さんと、近しい世代の、食の世界で活躍する方たちと話を重ねながら、どんな空間がふさわしいか考えていきました。そうする中で、それぞれ第一線で活躍しつつ、背景は全く異なる方たちが、食の循環や、フードロスへの思いなど、食を通じた環境への意識の強さを共通して持っていることに気づいたんです。食物は全て地球の恵みから生まれ、私たち動物の体に入り、最後にはまた地球へ還っていく。〈GYRE.FOOD〉はそのサイクルを改めて考えられる場所でもあってほしい……。であれば、地球を感じさせる大地をこの場に作ろうと思いました」
〈eatrip soil〉のテラスから繋がる菜園。置かれたコンポストで生ゴミや食品カスなどは肥料にするという。
木のキューブを積み上げ点在させた、自由な使い方ができるバー前の空間。
大地をイメージさせる色合いの〈élan〉の床も美しい。
地上4階まで持ち込んだ大量の土を、左官の手作業で床や壁を塗り上げ、植物や什器などで緩やかにゾーニング。〈eatrip soil〉からつながるテラスには菜園とコンポストも設けた。ここで育てた野菜が提供され、料理で出た生ゴミはコンポストで植物の肥料になり……という循環もゆくゆく起きていくという。

すっきりとモダンなバーカウンターの席、料理人たちがきびきびと立ち働くキッチンの見える席、表参道の並木を見下ろす席……。どこも魅力的で、どこに陣取るか迷ってしまうが、ぜひ一度試してほしいのが、バーカウンターの背後にある、天井まで届く木製のピラミッドのような場所。無垢木を束ねたサイコロ状の木の塊を積み上げたここ、段差を利用して、どこに座ることもどこをテーブルにすることもできる。子ども心に戻っててっぺんまで上って過ごすのも面白そうだし、グループで自由な形に座るなんて使い方もできそうで、想像力が広がる場所なのだ。

●各スペースをさらに詳しくご紹介!

〈EUREKA〉より、あか牛炭火焼き2,400円。
〈EUREKA〉より、パテドカンパーニュ1,300円。
銀座のミシュラン2ツ星フレンチ〈エスキス〉のスーシェフを務めていた信太竜馬が立ち上げた〈élan〉と、フードディレクションを手がける〈EUREKA〉は対照的な2スペース。〈EUREKA〉は、オーセンティックでカジュアルなフレンチテイストの料理をリーズナブルに食べられるオールデイ・ダイニング。レギュラーメニューがS・M・Lとサイズ別に分けられているのも使い勝手がよさそうだ。対する〈élan〉は、コース料理のみを提供するフレンチレストラン。生産者や食材への想いを、料理を通してより色濃くダイレクトに表現している。面白いのは、この2スペース、ひとつのキッチンで運営されているところ。ひとつの素材を無駄なく使い切り、エネルギーも効率的に利用できる。ここにも全体のコンセプトが生きているのだ。
こちらは〈élan〉の料理より、「真魚鰹 根セロリのピューレ 銀杏 蓮根 百合根 うるい 柚子 レモン」。
「ラングスティーヌ タイマンゴー チョリソーとアンディーブ 金糸瓜」。
「栗のフラン 雲丹 舞茸 フォアグラ ノワゼット」。
〈élan〉を立ち上げ、〈EUREKA〉のフードディレクションを手がけた気鋭のシェフ、信太竜馬。
タップから注がれるオリジナルカクテル。常時15種類用意。
端正な空間が印象的なバー〈fünklein〉。
バー「fünklein(フュンクライン)」の目玉は、ずらっと並んだタップから注がれるビール……ならぬカクテル(!)。カクテルはノンアルコール数種を含め常時15種程度。もちろんリクエストに合わせたドリンクもつくってくれるが、丁寧に仕込みをされたこの“タップカクテル”はなかなか新しい体験だ。
〈eatrip soil〉には、野村友里が選び、いいと思ったものだけを置く。食材や調味料はもちろん、不定期に作家ものの器も並ぶ予定だ。
野村友里と〈eatrip soil〉のスタッフ。全国から集まる食材や器のことを丁寧に説明してくれる。
全国各地から食材が集まる。
パンや生鮮食品なども、折を見て積極的に仕入れていくという。
グロッサリーショップ〈eatrip soil〉に集まるのは、野村友里が全国からセレクトした調味料やパン、作家ものの器や調理道具などの数々。どれも愛情深い作り手の気持ちが込もるアイテムばかりで、ついあれもこれもと手が伸びる。

ところでGYREといえば、オランダの建築ユニットMVRDVの作品としても有名。気鋭の建築家の作品のなかに、現在の日本で指折りの若手建築家・田根の作品が完成したのだから、建築的にも見どころは十分。建築好きにも、食を愛する全ての人にも。ぜひ出かけてほしいニュースポットだ。

〈GYRE.food〉

●東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE4F。営業時間、定休日は各々異なるのでwebサイトで確認を。

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