田根剛が手がけた〈GYRE〉の食空間って? | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

田根剛が手がけた〈GYRE〉の食空間って?

『カーサ ブルータス』2020年2月号より

神宮前〈GYRE〉に約1,000平米の大規模で誕生した〈GYRE.FOOD〉は、「食の循環」をテーマにしたレストラン、バー、セレクトショップの複合スポット。デザインを手がけた田根剛に、見どころを聞きました。

カラマツの木材を寄せ集めたブロックを、天井近くまでピラミッド状に積み上げた空間。好きな場所を好きな人数で、椅子/テーブルとして使える。自由な使い方を促す場所だ。
「ずっとずっと先の未来、東京はこんな場所になるんじゃないかと思うんです」

床や壁に焦げ茶色の土を塗り込めた巨大なほら穴のような場所。方々で、さまざまな形の葉っぱをつけた植物たちが競い合うように伸びる。表参道〈GYRE〉の4階に、新たにグランドオープンする〈GYRE.FOOD(ジャイルフード)〉。冒頭の言葉は、インテリア設計を手がけた田根剛のものだ。

〈GYRE.FOOD〉の大きな特徴は、「SHOP&THINK」をキーワードに、カジュアルなオールデイダイニングとメゾン、グローサリーストア、バーという使い方の異なる空間が、約1000平米のワンフロアのなかで緩やかにつながりながら同居すること。

「全体のフードのコンセプトを担当した料理人の信太竜馬さんをはじめ、各々の立場から “食” に向き合うクリエイターが集うプロジェクト。皆の個性を生かしながらどうまとめ上げるか、最初は苦心しました」と田根は振り返る。

「でも話すうちに、チームの全員が、フードロスなど環境にまつわるトピックに課題意識を持っていることが見えてきたんです。食物はすべて土から生まれ土に還る。そう考えたら、空間も“土”でつくるのがごく必然だと思えました」
鬱蒼とした森のような食卓。オールデイダイニングの〈EUREKA(ユーリカ)〉は、野菜の切れ端をポタージュにするなど食材を余すことなく使い切る試みに取り組む。
バー〈fünklein(フュンクライン)〉。ダイニングのフードはこちらでも楽しめる。
タップからサーブされるカクテルは常時15種類ほどがスタンバイ。
鬱蒼とした森のような食卓。オールデイダイニングの〈EUREKA(ユーリカ)〉は、野菜の切れ端をポタージュにするなど食材を余すことなく使い切る試みに取り組む。
バー〈fünklein(フュンクライン)〉。ダイニングのフードはこちらでも楽しめる。
タップからサーブされるカクテルは常時15種類ほどがスタンバイ。
大量の土を地上4階の高さまで運び入れ、左官の手作業で床や壁に塗っていく現場は「内装工事なのにまるで外構工事の現場みたいでした(笑)」と田根。表参道の現代的な街並みを抜け、ビルのエスカレーターを上ったところに、突然、自然に侵食されたような空間が広がっているのだから面食らう。

「でも窓越しに眺めると、近隣のビルも意外と屋上緑化をしていてそれと連なる感じがあったりするんです。遠い未来、人口が減って温暖化が進み、人間が環境問題に真剣に向き合い始めたら、未来の東京は意外とこんな感じになるんじゃないか、だったらそんなに悪くないかも、なんて考えてしまう」

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