名作家具で古民家の空き家を再生させた〈フリッツ・ハンセン庵〉。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

名作家具で古民家の空き家を再生させた〈フリッツ・ハンセン庵〉。

『瀬戸内国際芸術祭 2019』で盛り上がる香川県丸亀市本島。ここに、フリッツ・ハンセンの家具でフルコーディネートした古民家の〈フリッツ・ハンセン庵〉が誕生。なんと誰でも無料で利用できる期間限定の休憩所だという。本島港のすぐそばにある〈N01カフェ〉と合わせて訪れたい注目スポットだ。

かつて塩飽(しわく)水軍が本拠地を置き、江戸時代は物流拠点として栄えた港町、本島。島北部の笠島地区は、水軍の船を手がけた塩飽大工によって手がけられた建物が数多く残っており、香川県で唯一、重要伝統的建造物群保存地区に制定されている。江戸時代末期から昭和初期に建てられた町屋には漆喰塗りの白壁、なまこ壁、千本格子窓や虫籠窓、矢来などが美しい状態で保存されており、歩いているだけでタイムスリップしたような感覚を味わう。

この町の一角にある築100年以上の一軒家を改修して作られたのが〈フリッツ・ハンセン庵〉。長らく人が住んでいなかった空き家は荒廃が進んでいたが、建物を支える梁や柱はそのままに、傷んだ床は無垢板に張り替え、土壁には白い漆喰を塗るなどして、最小限の改修にとどめた。そうして当時の趣を残した日本家屋に《エッグチェア》や《チャイナチェア》などフリッツ・ハンセンの名作家具をコーディネートしている。ここは11月4日まで無料の休憩所として活用。訪れた人は室内を見て回るだけでなく、実際に椅子やソファに座ることができる。
玄関先にはデンマーク出身のフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマンとコラボレーションした苔の《エッグチェア》が出迎える。
軒下にはフリッツ・ハンセンの名入りの提灯が。
障子を開け放った室内は自然光がたっぷり入り、開放感も抜群。《エッグチェア》を置いても圧迫感がない。
手前はシンプルで美しいフォルムのデイベット《PK80》。360度どこからでも使用できるため空間の中央に置いても違和感がない。
玄関先にはデンマーク出身のフラワーアーティスト、ニコライ・バーグマンとコラボレーションした苔の《エッグチェア》が出迎える。
軒下にはフリッツ・ハンセンの名入りの提灯が。
障子を開け放った室内は自然光がたっぷり入り、開放感も抜群。《エッグチェア》を置いても圧迫感がない。
手前はシンプルで美しいフォルムのデイベット《PK80》。360度どこからでも使用できるため空間の中央に置いても違和感がない。
室内に入ってみると、北欧生まれの家具が日本家屋にすんなりとマッチして少々驚く。北欧のクラフト精神と塩飽職人の技術が見事に融合しているのだ。この〈フリッツ・ハンセン庵〉を手がけたのは丸亀市にあるインテリアショップ〈CONNECT〉代表の高木智仁さん。

「(船大工で培った高い技術力を持つ)塩飽大工の技術が集結した建物を最大限に生かし、インテリアの力で再生する。それがこのプロジェクトの目的です。空き家問題が深刻化する笠島地区で、朽ちた建物を全壊して新しくするのではなく、最小限の改修とインテリアの力で空き家はここまで変われるんだということを実感してもらいたい」
床の間にはフリッツ・ハンセンのアートピースをディスプレイ。フラワーアレンジはニコライ・バーグマンが手がけている。
ダイニングスペースには《PK58》のテーブルにnendoがデザインした《N01 チェア》ブラックを合わせて。
ハンス・J・ウェグナーが中国・明王朝時代の椅子にインスピレーションを受けてデザインした《チャイナチェア》。彫刻技術を生かした美しいカーブが特徴。
床の間にはフリッツ・ハンセンのアートピースをディスプレイ。フラワーアレンジはニコライ・バーグマンが手がけている。
ダイニングスペースには《PK58》のテーブルにnendoがデザインした《N01 チェア》ブラックを合わせて。
ハンス・J・ウェグナーが中国・明王朝時代の椅子にインスピレーションを受けてデザインした《チャイナチェア》。彫刻技術を生かした美しいカーブが特徴。
室内には家具以外にも、フリッツ・ハンセンのデザイン哲学を反映する照明や、インテリアアクセサリー小物コレクションのアイテムが空間を彩っている。「フリッツ・ハンセンにはインテリアをトータルでコーディネートできるたくさんのアイテムがあります。アイテムの組み合わせにも注目してもらえたら」と高木さんはいう。日本家屋の空間をそのまま利用しているので、家具の配置や照明の位置、小物の取り入れ方など参考にできるポイントがたくさんある。インテリアショップでは気づかなかったフリッツ・ハンセンの新たな魅力にも出合えるはずだ。