
チェア
Chair(1954)
by TADAOMI MIZUNOE(水之江忠臣)
- Editor: Wakako Miyake
- Text: Takahiro Tsuchida
- Supervisor: Tomomi Nagayama
「あっさり」というのは、日本人独自の美意識かもしれない。スッとしたラインで構成されたサイドのフレームは、すみずみまで神経が行き渡りながら、何かを主張したりはしない。座面はちょうどよく身体を支え、背もたれはあるべき場所に収まっている。それも、体に優しい曲線を柔らかく描きつつ。前川國男設計の〈神奈川県立図書館〉に収められた椅子を原型として、水之江忠臣は100脚以上の試作を繰り返し、現在の形を完成させたという。いかにも品行方正な佇まいには、図書館椅子という愛称がしっくりくる。38,500円(2022年12月現在)。(天童木工 TEL 0120 01 3121)