
ロンシャンの礼拝堂
Chapelle Notre-Dame du Haut, Ronchamp(1955)
by Le Corbusier
- Photo: Yuji Ono
- Text: Mari Matsubara
1955年竣工。設計:ル・コルビュジエ。第二次大戦で破壊された聖ドミニコ会の礼拝堂を再建。石積みにセメントを吹き付け石灰で白く仕上げた壁はそれ自体が柱の代わりとなって、コンクリート打ち放しの大屋根を支える。南側の壁には小さい四角の穴がランダムに穿たれ、色ガラスをはめてル・コルビュジエ自らが絵や文字を描いた。屋根は内部に空洞をもつシェル構造で、壁との間に数センチの隙間をあけ光が差し込む。内部には主祭壇のほかに3つの小礼拝祭壇があり、塔から光が注ぐ。1つの塔の内側は赤く塗られている。主扉は中央の軸吊りで回転し、両面とも鉄板にル・コルビュジエによる絵画を琺瑯(ほうろう)引きしている。厳格な幾何学的プロポーションの建築で知られた巨匠が、突如生み出した破格の造形に世界が驚いた。