
三徳山三佛寺 奥院投入堂
Mitokusan Sanbutsuji Okunoin Nageiredo(11C)
- Photo: Kazuya Morishima
- Text: Sawako Akune
- Editor: Wakako Miyake
11世紀ごろ建立。鳥取県の中ほど、標高約900mの三徳山にある天台宗の古刹(こさつ)・三佛寺。役行者(えんのぎょうじゃ)によって修験場として706年に開山されたこの寺の、急峻な道のクライマックスが、崖にへばりつくかのような、強烈な外観の奥院(投入堂)だ。役行者が法力で投げ入れたものとされるところからその名を得ているが、実際には懸造(かけづくり)と呼ばれる建築様式を採用。地形に合わせて高い柱を立て、その上に桁行(けたゆき)一間、梁間(はりま)二間の床を張っており、さらに周囲に高欄(こうらん)付きの縁を巡らせている。屋根は檜皮葺(ひわだぶ)きの流造(ながれづくり)。長い石段、よじ上らなければ越えられない大岩や木の根、 崖っぷち...と、険しい道を越えた先で出会う特異な建築は、昔も今も人々を深い驚愕と感嘆で打つ。