CULTURE
巨匠ウィリアム・エグルストンが、ミュージシャンデビュー!?
November 14, 2017 | Culture | casabrutus.com | photo_Peter Townsend interview_David G. Imber text_Mika Yoshida editor_Yuka Uchida
かの写真家ウィリアム・エグルストンが、御年78才でレコードを初リリース! いったいどんな音楽を? 自分で演奏を? 本人にお話を伺いました。
エグルストンのデビューアルバムはその名も『Musik』。彼が1980年代、シンセサイザーを使ってインプロビゼーションで制作した楽曲が収められている。デジタルのイメージとはほど遠い、伝説の写真家がまさかシンセを操るとは!
メディアにはまず登場することのない御大だが、今回は特別にテネシー州メンフィスの自宅で電話取材に応じてくれた。ゆったりとした抑揚が耳に心地良い、物腰柔らかく品の良い言葉づかいはまさに「サザーン・ジェントルマン(南部の紳士)」。エグルストンが長年フィルムに刻み続けたアメリカーナな原風景が、その声から伝わってくるようだ。
Q そもそも楽器は昔から演奏していたのですか?
母親の影響で4才からピアノを弾き始めて、6才から正式に少々学んだのだよ。私がとても慕っていた、祖母の親友が先生になってくれてね。
Q このアルバムのタイトルが『Musik』とドイツ語なのは、バッハへの敬意からと伺いました。
さよう。バッハ以前から最近のものまでさまざまな音楽を聴くが、今も昔も、バッハこそがわがヒーローだ。
メディアにはまず登場することのない御大だが、今回は特別にテネシー州メンフィスの自宅で電話取材に応じてくれた。ゆったりとした抑揚が耳に心地良い、物腰柔らかく品の良い言葉づかいはまさに「サザーン・ジェントルマン(南部の紳士)」。エグルストンが長年フィルムに刻み続けたアメリカーナな原風景が、その声から伝わってくるようだ。
Q そもそも楽器は昔から演奏していたのですか?
母親の影響で4才からピアノを弾き始めて、6才から正式に少々学んだのだよ。私がとても慕っていた、祖母の親友が先生になってくれてね。
Q このアルバムのタイトルが『Musik』とドイツ語なのは、バッハへの敬意からと伺いました。
さよう。バッハ以前から最近のものまでさまざまな音楽を聴くが、今も昔も、バッハこそがわがヒーローだ。
Q 収録された13曲は20年以上前に制作した音源が元になっています。今聴いてみていかがですか?
今回のリリースにあたって改めて聴き直したのだが、まるで記憶にない曲が結構あった(笑)。が、どれも思う以上にしっかりした作品で、われながら驚いたね。表面的にはシンプルだが、実は濃い。それがわかるまで深く聞き込むことを求める音楽だと思う。
Q スタイルはインプロですね。
私の場合、まず有名な楽曲を弾くところから始める。クラシックだろうと大衆音楽だろうと、その旋律を徐々に変容させ、やがて完全なる即興へと移っていくんだよ。単なるバリエーションを超えて、より良いものに昇華させると言うか……。不遜な言い方で気が引けるがね。直感的に動くだけで、次に何が起きるかは私にもわからない。自分にとって意味のある音かどうか、それだけさ。
Q 聴き手がどう受け止めるか、知りたいですね。
その通り。いったいどう聴いてくれるのだろう、と気になるのだが、基本的に人前でライブ演奏をしないからね。とはいえ、わが家に友人知人を大勢招く機会も多いので、そうすると決まって誰かが「ウィリアム! 何か一曲披露してもらえないか?」と言い始めるんだ。
Q リクエストに応じるのですか?
「もちろん!」と答える。「だがどんな曲になるかは、私にも読めないよ」とつけ加えてね(笑)。演奏中はどの指がどの鍵盤をどう叩くか、無意識下では完全に把握している。次の瞬間の展開を半秒前に読み取りながら、指が本能的に動くというのは、写真を撮影する行為に通じるものがあるんじゃないかな。まあ、単なる思い込みかもしれないがね(笑)。
今回のリリースにあたって改めて聴き直したのだが、まるで記憶にない曲が結構あった(笑)。が、どれも思う以上にしっかりした作品で、われながら驚いたね。表面的にはシンプルだが、実は濃い。それがわかるまで深く聞き込むことを求める音楽だと思う。
Q スタイルはインプロですね。
私の場合、まず有名な楽曲を弾くところから始める。クラシックだろうと大衆音楽だろうと、その旋律を徐々に変容させ、やがて完全なる即興へと移っていくんだよ。単なるバリエーションを超えて、より良いものに昇華させると言うか……。不遜な言い方で気が引けるがね。直感的に動くだけで、次に何が起きるかは私にもわからない。自分にとって意味のある音かどうか、それだけさ。
Q 聴き手がどう受け止めるか、知りたいですね。
その通り。いったいどう聴いてくれるのだろう、と気になるのだが、基本的に人前でライブ演奏をしないからね。とはいえ、わが家に友人知人を大勢招く機会も多いので、そうすると決まって誰かが「ウィリアム! 何か一曲披露してもらえないか?」と言い始めるんだ。
Q リクエストに応じるのですか?
「もちろん!」と答える。「だがどんな曲になるかは、私にも読めないよ」とつけ加えてね(笑)。演奏中はどの指がどの鍵盤をどう叩くか、無意識下では完全に把握している。次の瞬間の展開を半秒前に読み取りながら、指が本能的に動くというのは、写真を撮影する行為に通じるものがあるんじゃないかな。まあ、単なる思い込みかもしれないがね(笑)。
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