VEHICLE
Chill CARS|《スズキ X-90》常識破りのコンセプトを持つ、稀有な存在のSUV。
『カーサ ブルータス』2025年5月号より
| Vehicle, Design | Chill CARS | photo_Futoshi Osako text_Izuru Endo illustration_Daijiro Ohara
1980年代後半~90年代前半のバブル期には、モーターショーの参考出品車をそのまま販売したような、突飛なコンセプトのクルマがいくつも存在した。
〈スズキ〉の《X-90》もその一台。1993年の東京モーターショーに出品したコンセプトカーを、95年に市販化したSUVだ。
《X-90》は、SUVとしては常識破りのクルマだった。スキーやレジャーで使うことが多いSUVには、広い荷室や実用性が求められる。ところが《X-90》の定員は2名。積載性に優れたリアゲートも持たないため、レジャーで使う際にも大きな荷物が積めなかった。一方でセンターを残して脱着可能なTバールーフを採用。グラスルーフを外せば、オープンカーのような開放感を楽しめた。
その振り切ったコンセプトは、《X-90》に絶対的な個性を与えることになった。全長が短く背が高い車体と、小さなキャビンが生むサイドビューは、デフォルメされたクルマのように愉快だ。ブリスター状のフェンダー、丸みを統一した各部のディテールは完成度が高い。そして、優れた外観デザインは、発売後30年を経てもその歳月を微塵も感じさせない。
《X-90》のつかみどころのないキャラクターは、当時でもいささか風変わりにすぎ、販売台数は大きく伸び悩んでしまった。しかし、売れ筋ジャンルのクルマばかりが販売される現代では、《X-90》のリスクを恐れない突飛さが、逆に新鮮に感じられるのだ。
《X-90》は、SUVとしては常識破りのクルマだった。スキーやレジャーで使うことが多いSUVには、広い荷室や実用性が求められる。ところが《X-90》の定員は2名。積載性に優れたリアゲートも持たないため、レジャーで使う際にも大きな荷物が積めなかった。一方でセンターを残して脱着可能なTバールーフを採用。グラスルーフを外せば、オープンカーのような開放感を楽しめた。
その振り切ったコンセプトは、《X-90》に絶対的な個性を与えることになった。全長が短く背が高い車体と、小さなキャビンが生むサイドビューは、デフォルメされたクルマのように愉快だ。ブリスター状のフェンダー、丸みを統一した各部のディテールは完成度が高い。そして、優れた外観デザインは、発売後30年を経てもその歳月を微塵も感じさせない。
《X-90》のつかみどころのないキャラクターは、当時でもいささか風変わりにすぎ、販売台数は大きく伸び悩んでしまった。しかし、売れ筋ジャンルのクルマばかりが販売される現代では、《X-90》のリスクを恐れない突飛さが、逆に新鮮に感じられるのだ。
country: Japan
year: 1995-97
seats: 2
size: L3,710×W1,695×H1,550mm
price: approx 1,100,000 yen
year: 1995-97
seats: 2
size: L3,710×W1,695×H1,550mm
price: approx 1,100,000 yen
special thanks to Cars+(TEL 0439 27 0230)
※データと価格は、撮影車両を参考に算出したものです。
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