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アートで1300年のタイムトリップができる大分・国東半島へ。
March 31, 2021 | Travel, Architecture, Art | PR | photo_Takuya Neda text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
山道を歩いていると苔むした石塔が並び、アントニー・ゴームリーの彫像に出合う。瀬戸内海に突き出した大分・国東半島では中世から現代まで一気にワープする旅ができます。新しく登場したスポット、美術館も合わせて訪れたい場所です。
大分県の国東半島は、海上交通が主な輸送手段だった時代には最新情報の入り口だった。さまざまな文物が国東半島から移入し、九州各地へと広がっていった。その歴史ある地で2014年に開かれたのが『国東半島芸術祭』だ。このとき設置されたアートの一部は地元の人たちの手で大切にメンテナンスされ、あるものは変化しながら、今もそこで訪れる人たちを待っている。
●無垢の鉄でできたアントニー・ゴームリーの彫像が、海山を見下ろす。
アントニー・ゴームリーの《ANOTHER TIME XX》は千燈地区の山の頂上に近いところに瀬戸内海を見つめて立つ等身大の彫像だ。国東半島は古来から信じられていた神道に大陸から渡来した仏教が融合し、8世紀の始めに仁聞菩薩(にんもんぼさつ)が神仏習合の原点となる山岳信仰「六郷満山(ろくごうまんざん)」を開いたとされる地だ。
一方、ゴームリーは1970年代にインドとスリランカで仏教を学んでから、このような人体の彫刻を制作するようになったという。鉄の塊である像はこの地で盛んだった「たたら製鉄」の歴史を踏まえたものでもある。像は年月を経るごとに風雨にさらされて溶け、いずれなくなってしまうだろう。それが数十年後のことなのかもっと先なのかはわからないが、地から生まれた鉄はいつか地に帰っていく。
一方、ゴームリーは1970年代にインドとスリランカで仏教を学んでから、このような人体の彫刻を制作するようになったという。鉄の塊である像はこの地で盛んだった「たたら製鉄」の歴史を踏まえたものでもある。像は年月を経るごとに風雨にさらされて溶け、いずれなくなってしまうだろう。それが数十年後のことなのかもっと先なのかはわからないが、地から生まれた鉄はいつか地に帰っていく。
この彫像の高さは191cm、重さは約700キログラム。これだけの重量のものをどうやって山の岩場に設置するのか──2014年の作品設置時に担当者は頭を悩ませた。最終的に地元の人々の協力で仮設のロープウェイまで設置して運び上げている。ゴームリー作品近くの〈不動茶屋〉には作品を運んだクレート(木箱)と運搬などの経緯を克明に記録したイラストが掲示されている。
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