世界遺産・エルサレム旧市街の最深部へ。特別撮影の「聖なる岩」から「キリストの墓」まで徹底紹介。
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| photo_Keisuke Fukamizu text_Housekeeper
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エルサレム旧市街、金色の〈岩のドーム〉を取り囲む城壁で囲まれた空間が「神殿の丘」だ。もともとユダヤのソロモン王、ヘロデ王が神殿を建てた場所であることからこの名で呼ばれる。

〈岩のドーム〉内部にある「聖なる岩」。この岩からムハンマドが天界へ旅立ったとされるが、イスラエルの始祖アブラハムが息子のイサクを生贄として捧げようとした場所でもある。今回、Casa BRUTUSは特別な撮影許可を得てドーム内部を撮影することができた。

神殿の丘の北部にそびえる金色のドームが〈岩のドーム〉だ。屋根から円筒状の構造が下方に伸び、正八角形の建築がそれを取り囲む。入り口は4つあり、それぞれ東西南北に面している。外観は見学できるが、イスラム教徒以外はドーム内部に入ることは許されない。

〈岩のドーム〉中央部。地面には「聖なる岩」が広がる。ムハンマドが天界に登った後、降り立った際についた足跡が残るとされる。

「聖なる岩」は16本の柱で取り囲まれ、この柱が天井部の金色のドームを支える。柱の外側は周歩廊が巡っている。

ドーム内側には美しい連続文様が無限に広がる。ステンドグラスは16世紀に加えられたもの。このドームの見守られるかのように、床部に「聖なる岩」が鎮座する。 photo_Housekeeper

建物中央部の「聖なる岩」を取り囲む周歩廊。アラベスクや幾何学模様などさまざまな装飾が施され、床には絨毯が敷かれている。

「聖なる岩」の一角にある階段を降りていくとたどり着く「魂の井戸」内部。神聖な祈りの空間だ。

地上と「魂の井戸」を繋ぐ階段。11〜12世紀にかけて十字軍がエルサレムを奪還すると、キリスト教徒はこの洞窟を洗礼者ヨハネが誕生を告げた場所として崇拝した。

神殿の丘の南方にある〈アル=アクサー・モスク〉。そのドームの色から〈銀のドーム〉とも呼ばれる。こちらもイスラム教徒以外は内部に入ることはできない。

モスクの内部。一面に礼拝用絨毯が敷き詰められている。正面にミフラーブ(礼拝室の最奥の壁に設けられたメッカの方角を示す窪み)がある。

銀のドームの内側を見上げる。上部のドーム中央部からはシャンデリアが吊るされている。オリジナルのドームは残っておらず、度重なる改修を重ねて現在に至る。

〈嘆きの壁〉はエルサレムの神殿(神殿の丘)を囲んでいた城壁の西側の一部分。城壁は幅約57m、高さは約19m。地下に埋まっている部分も含めると32m。積み上げられた石は地上28段、地下17段の計45段となっている。

世界中から訪れるユダヤ教徒は神殿跡であるこの壁に向かって祈りを捧げる。願いや祈りを紙に記し、それを岩の隙間に挟み込む人も多い。

〈嘆きの壁〉に向かって左手にはトンネルがあり、その奥はウィルソンズ・アーチと呼ばれる祈祷所となっている。嘆きの壁はこのアーチ内にも続いており、ユダヤ教徒が壁に向かって祈りを捧げている。

第2留:鞭で打たれ、十字架を背負う。 ピラトにより有罪判決を受けたイエスがローマ兵に鞭打たれ、茨の冠を被せられた場所とされる〈鞭打ちの教会〉が第2留。ステンドグラスにはその経緯が描かれている。 photo_Housekeeper

第3留:最初に倒れた場所。 ゴルゴタに向かうイエスは道中で3回倒れることになる。この第3留が最初に倒れた場所とされ、19世紀になってここにアルメニア・カトリック教会が建立された。

第4留:母マリアと出会う。 第3留のアルメニア・カトリック教会の敷地内。イエスはここで母マリアに出会ったとされる。

第5留:クレネのシモンが十字架を背負う。 たまたまそばに居合わせたシモンというクレネ人が、イエスの代わりに十字架を背負わせられることになる場所。

第6留:ベロニカがイエスの顔を拭く。 苦しみの中、歩みを進めるイエスに、ベロニカが汗を拭うためのベールを差し出した場所。このとき用いた布にイエスの顔が浮かび上がり、「ベロニカのベール」として語り継がれる。

第7留:イエス、再び倒れる。 イエスが2度目に倒れた場所であり、また「裁きの門」が記念されている。この「裁きの門」はゴルゴタの丘に通じていて、ここで死刑囚に対する罪状が読み上げられたという。

第8留:イエスがエルサレムの娘たちに語りかける。 イエスの苦しむ姿を見て泣く女性たちに「エルサレムの娘たち、わたしのために泣くな。むしろ、自分と自分の子供たちのために泣け」と語った場所。

第9留:三たび、イエスが倒れる 苦しみに耐え兼ねたイエスが3度目に倒れたといわれる場所。担いできた十字架はここで降ろすことになる。この先が〈聖墳墓教会〉となっている。第10〜14留はこの〈聖墳墓教会〉の内部に設定されている。

〈聖墳墓教会〉入口の前の中庭。右にある小さなドーム部分(教会2階部分外側に飛び出ている小さな聖堂)が、ヴィア・ドロローサの第10留:衣服を剥ぎ取られる。の場所に設定されている。

教会内の殉教聖堂はゴルゴタの丘であった場所とされる。ここは第11留:十字架に針で打たれた場所。と、その十字架が建てられイエスが絶命した場所第12留:イエスの死。が設定されている。写真下方のガラスケースで包まれているのがゴルゴタの丘の岩で、十字架が立てられた穴がある。

教会入り口正面はイエスの遺体に香油を塗った場所で、ゴルゴダの丘のふもととなる位置関係だ。床に設置された石板には香油が張られている。巡礼するキリスト教徒はこの石板に口づけをするのが習わしとなっている。壁面にはイエスを抱くマグダラのマリアなどが描かれたモザイク画が飾られている。以前はここが第13留となっていた(現在の第13留は、12留のゴルゴタの丘にある「十字架の下の母マリア」となっている)。

最終地点の第14留:イエスの墓は大きいドームを持つ復活聖堂に置かれている。墓の内部は小部屋となっており、遺体を寝かせたとされる石板がある。この場所でイエスは復活をとげたことから、ここを第15留:復活として最終到達点とする位置づける宗派もある。