CULTURE
【本と名言365】三宅一生|「デザインには希望がある、そして、…」
September 15, 2023 | Culture | casabrutus.com | photo_Miyu Yasuda text_Yoshinao Yamada illustration_Yoshifumi Takeda design_Norihiko Shimada(paper)
これまでになかった手法で、新しい価値観を提示してきた各界の偉人たちの名言を日替わりで紹介。2022年に逝去したデザイナー、三宅一生。自らの実践を持って多くの後進を育てた彼のメッセージは、忘れてはならないものづくりの根底を示すものでした。
デザインには希望がある、そして、デザインは驚きとよろこびを人びとに届ける仕事である
1973年、ファッションデザイナーの三宅一生ははじめて参加したパリ・コレクションで「一枚の布」というコンセプトを打ち出した。構築的な西洋の衣服と違い、インドのサリーや日本の着物などに着想を得た衣服は、平面の布を畳み、折り、切り、くり抜くことで構成される。一枚の布を慈しむ姿勢をもつ三宅のデザインは洋の東西を問わず、のちに「プリーツプリーズ」や「A-POC」などのシリーズへ発展していく。その考えはまさに衣服における新しい発明を生み出す起点となった。
生涯を通じて後進の育成に力を入れた三宅はたびたび、日本でもデザインミュージアムを設立すべきだと何度も提言した。その思いは自ら設立に関わった「2121デザインサイト」にも表れているが、2007年から2011年にかけて〈21_21 DESIGN SIGHT〉設立への思いや自身の足跡について語ったインタビューをまとめた一冊が『三宅一生 未来のデザインを語る』だ。
本書で三宅は「デザインには希望がある、そして、デザインは驚きとよろこびを人びとに届ける仕事である」と語る。三宅にとって衣服とは、時代とともにうつろう「ファッション」ではなく、生活と密接に結びつく普遍的な「デザイン」であった。それゆえ三宅は、日本という資源をもたない国だからこそデザインという知的な力をもって国際社会に挑もうと語りかける。
そして、モデルチェンジや販売促進を目的としたデザインが溢れかえっている状況を嘆き、時代を探っていく姿勢こそ大事にしてほしいという。生涯を通じて、常に時代を先に進めるべく闘い続けた三宅。ただしその闘いの根底にはいつも「希望」「驚き」「よろこび」というポジティブな思いがあった。だからこそそのデザインはいつまでも人のよろこびを生み出しているのだ。
1973年、ファッションデザイナーの三宅一生ははじめて参加したパリ・コレクションで「一枚の布」というコンセプトを打ち出した。構築的な西洋の衣服と違い、インドのサリーや日本の着物などに着想を得た衣服は、平面の布を畳み、折り、切り、くり抜くことで構成される。一枚の布を慈しむ姿勢をもつ三宅のデザインは洋の東西を問わず、のちに「プリーツプリーズ」や「A-POC」などのシリーズへ発展していく。その考えはまさに衣服における新しい発明を生み出す起点となった。
生涯を通じて後進の育成に力を入れた三宅はたびたび、日本でもデザインミュージアムを設立すべきだと何度も提言した。その思いは自ら設立に関わった「2121デザインサイト」にも表れているが、2007年から2011年にかけて〈21_21 DESIGN SIGHT〉設立への思いや自身の足跡について語ったインタビューをまとめた一冊が『三宅一生 未来のデザインを語る』だ。
本書で三宅は「デザインには希望がある、そして、デザインは驚きとよろこびを人びとに届ける仕事である」と語る。三宅にとって衣服とは、時代とともにうつろう「ファッション」ではなく、生活と密接に結びつく普遍的な「デザイン」であった。それゆえ三宅は、日本という資源をもたない国だからこそデザインという知的な力をもって国際社会に挑もうと語りかける。
そして、モデルチェンジや販売促進を目的としたデザインが溢れかえっている状況を嘆き、時代を探っていく姿勢こそ大事にしてほしいという。生涯を通じて、常に時代を先に進めるべく闘い続けた三宅。ただしその闘いの根底にはいつも「希望」「驚き」「よろこび」というポジティブな思いがあった。だからこそそのデザインはいつまでも人のよろこびを生み出しているのだ。
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