FASHION
伝説の『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』展を自宅で堪能しよう。
April 23, 2020 | Fashion, Art, Culture | casabrutus.com | photo_©Adrien Dirand text_Mari Matsubara editor_Keiko Kusano
2017年から2018年にかけて、クリスチャン・ディオール創業70周年を記念してパリで開催された展覧会『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』のドキュメンタリー映像がYouTubeで特別公開。キュレーターのインタビューや設営風景も収録した1時間弱のショートフィルムだ。
2017年7月5日から2018年1月7日まで、メゾン創業70周年を記念して開催された展覧会『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』は、その後もモード界の語り草になっている。〈パリ装飾芸術美術館〉の企画展用のスペース3,000㎡をただひとつのクチュールメゾンのために使うのは前代未聞のことだったし、クリスチャン・ディオールと6人の後継デザイナー(イヴ・サンローラン、マルク・ボアン、ジャンフランコ・フェレ、ジョン・ガリアーノ、ラフ・シモンズ、マリア=グラツィア・キウリ)各人の作品を羅列するだけではなく、インスピレーションの元となったアートピースやオブジェ、貴重なデッサンや生地見本資料、当時のファッションフォト、帽子やジュエリー、バッグ、香水瓶などの小物なども集められ、質・量ともに圧巻の内容だった。この夢のような展覧会のドキュメンタリー映像が、現在YouTubeで特別公開されている。
展覧会のメイキング映像がとにかく興味深い。「ディオール ヘリテージ」と呼ばれるアーカイブスや世界中の美術館から集めた貴重なドレスを傷めることのないようマネキンに着せ、スカートのひだを整え、袖に膨らみをもたせる。マネキンも、服のシルエットに合わせて一つひとつ彫刻を作るように手作業で調整された。ムッシュ ディオールの庭を彷彿とさせる大量のペーパークラフトの花がどのように製作されたのか、また展示の最後を締めくくる大ホールをどのようにして「バル(舞踏会)」をテーマとしたヴェルサイユ的空間に仕立てたのか。裏方の気の遠くなるような準備作業は見応えがある。ディオールの歴史をひもときながら、観る人を夢見心地にさせた演出のあれこれが明らかになっていて面白い。エキシビションを観た人も、見逃した人も、身も心も閉じ込められた日常をひととき忘れて、めくるめく絢爛の世界を堪能してほしい。
『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』展の世界:ドキュメンタリー映像 (日本語字幕あり)