DESIGN
日本の職人による究極の手仕事を世界へ! 伝統技術ディレクター、立川裕大が仕掛ける〈AMUAMI〉とは。
December 8, 2023 | Design | casabrutus.com | photo_Taiki Fukao, Kazuhiro Shiraishi text_Tomomi Nagayama
日本のものづくりを編集し、優れた職人の手仕事を世界に向けて発信することで「職人文化の継承と発展を目指す」プロジェクト〈AMUAMI(編阿弥)〉。今回ファーストコレクションとして発表された16のプロダクトとその製作背景を紹介します。
「この人にしかできない仕事、そこにしかないもの。土地の素材、自然を知り尽くした手が折々の環境の中で一分の隙もない仕上げに向かって動く」。そんな職人の技にずっと魅了されてきたという立川裕大。伝統技術ディレクターとして長年、名だたる建築家やインテリアデザイナーたちの求めに応じ、日本各地の伝統的な素材や技術を有する職人を見出し、オートクチュール製作の家具や照明、アートオブジェなどを手がけてきた。
そんな彼が立ち上げた〈AMUAMI〉とは、日本のものづくりを編集するミドルウェア(パソコン用語でOSとアプリケーションを橋渡しするソフトウェアを指す)だという。職人の技術という一つの優れたものを選び出すだけではなく、一見結びつかないもの同士を掛け合わせ、重ね合わせ、互いに競わせ、シリーズに束ねるという、日本古来の文化芸術の根底にあった編集方法“アワセ、カサネ、キソイ、ソロイ”を現代に甦らせるプロジェクトだ。
そんな彼が立ち上げた〈AMUAMI〉とは、日本のものづくりを編集するミドルウェア(パソコン用語でOSとアプリケーションを橋渡しするソフトウェアを指す)だという。職人の技術という一つの優れたものを選び出すだけではなく、一見結びつかないもの同士を掛け合わせ、重ね合わせ、互いに競わせ、シリーズに束ねるという、日本古来の文化芸術の根底にあった編集方法“アワセ、カサネ、キソイ、ソロイ”を現代に甦らせるプロジェクトだ。
「このままでは一流の職人たちが腕を振るう機会が無くなってしまう」。このような危機感が立川の〈AMUAMI〉を立ち上げるきっかけとなった。古からの日本に存在した公家、武家、宗教界など、いわゆる職人を支えるパトロン文化が衰退したことがその原因だ。これまでの仕事を通して職人、技術、素材、デザインの知識、日本の美意識、日本人の心など、もの作りに必要な全ての編集を手がけ、各地の職人たちとの強力なネットワークを築いてきたという立川。そんな彼にとって編集というリミックスの手法を用いた職人たちとのコラボレーションはすぐにでもスタートできる解決策だった。
時には足繁く現地へと通い、職人たちと協議し合うという共同作業により理想のフォルムを描き出す。シルクのシェードとシルクの真田紐を合わせた「絹あわせ」、ガラス(モダニズム)に漆(侘び寂び)を重ねた「石英」、箱という同じフォーマット上に組子や彫刻、螺鈿、石材加工の職人を競わせた「玉手箱」など、7つのアプローチを揃えたコレクションが誕生した。
時には足繁く現地へと通い、職人たちと協議し合うという共同作業により理想のフォルムを描き出す。シルクのシェードとシルクの真田紐を合わせた「絹あわせ」、ガラス(モダニズム)に漆(侘び寂び)を重ねた「石英」、箱という同じフォーマット上に組子や彫刻、螺鈿、石材加工の職人を競わせた「玉手箱」など、7つのアプローチを揃えたコレクションが誕生した。
立川の編集とは日本文化の中にあるさまざまな特徴にフォーカスし、もの作りに落と込むといった手法だ。立川が挙げた例を紹介したい。
「石英ガラスのシリーズは日本人のダブルスタンダード、例えば神仏習合、天皇と将軍、J-POPと洋楽といった白黒つけない曖昧さにフォーカスしました。〈AMUAMI〉では石英ガラスをモダニズムの象徴に、漆や箔を侘び寂びの象徴として捉えて、その相反する要素を一つにまとめています」
時間の経過とともに表面の漆や箔がこそげて行くことで変化し侘び寂びが現れてくる、「経年変化」という曖昧な要素をモダニズム然としたプロダクトに内包させている。
「石英ガラスのシリーズは日本人のダブルスタンダード、例えば神仏習合、天皇と将軍、J-POPと洋楽といった白黒つけない曖昧さにフォーカスしました。〈AMUAMI〉では石英ガラスをモダニズムの象徴に、漆や箔を侘び寂びの象徴として捉えて、その相反する要素を一つにまとめています」
時間の経過とともに表面の漆や箔がこそげて行くことで変化し侘び寂びが現れてくる、「経年変化」という曖昧な要素をモダニズム然としたプロダクトに内包させている。
また立体組子の《きよみず》では日本人が得意とする縮小文化を取り入れたという。
「古くは盆栽や茶室、俳句、現代では軽自動車、ポケモンなど日本人は何でも縮めます。大好きな清水の舞台を、昔の大工たちがあの急斜面に釘もネジも使わずに柱を組み上げたという離れ業に敬意を表して、この組子を釘もネジも使わずに立体に組み上げて縮小された《きよみず》のシリーズを作りました」
「古くは盆栽や茶室、俳句、現代では軽自動車、ポケモンなど日本人は何でも縮めます。大好きな清水の舞台を、昔の大工たちがあの急斜面に釘もネジも使わずに柱を組み上げたという離れ業に敬意を表して、この組子を釘もネジも使わずに立体に組み上げて縮小された《きよみず》のシリーズを作りました」
〈AMUAMI〉の仕事とは、このような思いもよらない素材の取り合わせや技の掛け合わせ、様式のまぜこぜといった編集に対して一流の職人たちがその技の限りを尽くして一部の隙も無い仕上げに挑んで行くこと。そうして「完成した品々を使い手が見立て、使い、物語を加えて行きながら一緒に未来の骨董を編んでいってほしい」と立川は希望する。
今後は職人だけではなく様々な文化人とのコラボレーションや海外文化との編集にも取り組み、「職人文化の継承と発展のため」に世界にも通用するプロダクトブランドを目指すという。〈AMUAMI〉のこれからに期待したい。
今後は職人だけではなく様々な文化人とのコラボレーションや海外文化との編集にも取り組み、「職人文化の継承と発展のため」に世界にも通用するプロダクトブランドを目指すという。〈AMUAMI〉のこれからに期待したい。
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