日本の職人による究極の手仕事を世界へ! 伝統技術ディレクター、立川裕大が仕掛ける〈AMUAMI〉とは。
| Design | casabrutus.com | photo_Taiki Fukao, Kazuhiro Shiraishi text_Tomomi Nagayama
Photo Gallery写真ギャラリー

〈AMUAMI〉ファーストコレクション。洋室にあってもしっくり馴染みそうな和洋を競わせたデザインが特徴だ。

「糸都(しと)」と呼ばれた長野県岡谷にある、300以上の繭から直接糸を巻き上げ立体的なランプシェードに仕立ててしまうという世界に2台しかない特別な機械。その機械から形作られたランプシェードに、絹を筒状に織りあげた「世界一細い織物」と言われる真田紐を合わせた《綾巻》。《綾巻》ペンダントライト154,000円、スタンドライト198,000円。

洋室のリビングルームにも和室の床間にもしっくり馴染むスタンドライト。

吊り下げ紐や脚部までもが真田紐で包まれることで完璧な「絹の空洞」に仕上がっている。

神様を迎える特別な行事の際に神を招くための目印となる「依代」。4つの〈玉手箱〉は祭礼などの神迎えにあたり木彫や螺鈿、金箔など贅の限りを尽くした依代を製作したように職人を起用し、その匠の技術の粋を競わせた。箱の天板をキャンバスに見立てて「霰こぼし」と「吉祥」という2つのモティーフを異なる2つの技術で表現する。写真は京都・桂離宮の「霰こぼし」をモティーフにした玉手箱。隙間なく敷き詰められたまばゆいばかりの螺鈿細工は富山県高岡市の武蔵川工房、4代目が手がけたもの。《霰こぼし》螺鈿黒495,000円。

過剰な外観の箱は大切なものを秘める依代となりそうだ。(上、下)「吉祥」の模様を極小のパーツで描き出した「組子」の製作は島根県浜田市の吉原木工所。「柾」の板のみを使用した箱部分も同木工所が製作。《七宝》組子275,000円、彫刻605,000円。(右)1枚の石板の表面を削り出し、小石が敷き詰められた桂離宮の苑路の意匠「霰こぼし」を表現。《霰こぼし》庵治石440,000円。(左)《霰こぼし》螺鈿黒。

美しい和菓子を並べて茶会に。

光ファイバーや半導体にも用いられる「石英ガラス」というテクノロジー素材に時のうつろいを映す漆などの天然素材を重ね合わせた「石英」シリーズ。古代の日本人が憧れ続けていた常に変わらない「常世」と、花鳥風月に代表される諸行無常の「現世」という境界に曖昧さを内包させたプロダクトだ。(左上から時計回りに)《四分一》黒地赤上264,000円、《八掛L》ガラスのみのクリア242,000円、《八掛S》赤地黒上198,000円、《四分一》クリア176,000円、《八掛S》黒地赤上198,000円、《四分一》赤地黒上264,000円、《八掛S》クリア132,000円、《八掛L》赤地黒上308,000円、《八掛L》黒地赤上308,000円

どこまでも鋭く透き通る高い純度のガラスも、ゆっくりと時を刻む漆で包まれることにより根来のような経年変化を醸し出す。オードブルや寿司など、おもてなしの料理を和洋問わず合わせることができる。

石英ガラスに24k金箔を施した《日月》231,000円。ジュエリーなどの小物を入れて内側からのまばゆい輝きを楽しみたい。

石英ガラスに絹の組紐を合わせた《関守石》176,000円。ガラスに結んだ組紐の経年変化が楽しめる。

「清水の舞台」として知られる清水寺本堂の張り出した舞台を支えている「懸造り」。18本の柱と貫という横木が格子状に組まれ、木材同士が互いの力を分散しあって釘を使わずに強い構造を保っているという。この「懸造り」を連想させる福岡県大川の「立体組子」を用いて製作された小さな舞台《きよみず》。盆栽や枯山水など日本人が古から愛でてきたミニチュア文化を取り入れたプロダクトだ。立体組子《きよみず》手前からsmall 330,000円、medium 440,000円。

「五輪塔」シリーズより。地・水・火・風・空、宇宙を構成する五大要素を表す《五輪塔》を国産の木地に上質な乳白色の土佐和紙を一点一点丁寧に重ね貼りして製作。シワシワに貼られた薄い紙の質感により実体のはっきりしない面影のようなフォルムに仕上げたという。165,000円。

12世紀に運慶が手がけた「木造大日如来坐像」の体内に納められている五輪塔のX線写真を見た際に、「この中にはさらに何か大事なものが隠されているのではないか」とのイマジネーションから、〈AMUAMI〉の五輪塔には大事なものが収納できる小さなスペースを設けた。重要文化財の再解釈を試みたアートオブジェだ。
Loading...