DESIGN
コペンハーゲン発・先鋭デザイナーに聞く:コロナ禍を経て考えるデザインの意味|小西亜希子の北欧デザイン通信
November 29, 2021 | Design | casabrutus.com | text_Akiko Konishi editor_Keiko Kusano
北欧インテリアシーンで一際目を引く、デンマーク・コペンハーゲンを拠点に活動するデザインユニット。今回はガムフラテーシとオール・ザ・ウェイ・トゥ・パリスの2組に、コロナ禍を経て最近考えていることや新作について聞いてみました。
●ガムフラテーシ「家の壁を越え、新しいデザインの道を模索する、そんな冒険を楽しみたい」
スティーネ・ガムとエンリコ・フラテーシ。コペンハーゲンを拠点に活動する、ともに建築家のユニットだ。デンマークとイタリアをルーツとしたデザインフィロソフィをもとに、2つの国の文化がもつ伝統的な形状や素材に、ハイブリッドな技術とロジックに基づいたアイデアを掛け合わせることを得意とする。
〈グビ〉をはじめ、〈HAY〉、〈ロイヤル コペンハーゲン〉、〈フリッツ・ハンセン〉、〈クヴァドラ〉といった北欧ブランドから、イタリアの〈ミノッティ〉なども手がけている。昨年は日本でエルメス全店舗のウィンドウディスプレイに起用されるなど、その活躍は広く知られている。
──まず、お二人のデザインフィロソフィーについてお聞かせください。
私たちのアイデンティティは、スカンジナビアのクリーンなミニマリズムと、イタリアのオープンで豊かな表現力や性質が調和した、2つのデザイン文化のバランスの中で仕事をしている点にあると思います。優美かつ古典的なデザインと、モダンで情熱的なデザインの折衷でユニークなバランスを共有しています。
また、スティーネは学生時代に東京の槇文彦スタジオで研修を受けていました。この日本との関わりが、私たちがデザインする上でスタイルの形成に大きく影響していることは間違いないです。日本の伝統的なクラフトマンシップに基づいた、シンプルで洗練されたデザイン。建築や日用品に至るまで、たくさんの刺激を受けてきました。そういった意味でも私たちのデザインが日本の多くの方にとって受け入れられるものであれば、こんな嬉しいことはないですね。
──ここ数年のコロナ禍の影響を受け、デザインそのものに対しての意識の変化はありましたか?
デザインという視点から見れば、コロナ禍を経験し、インドアとアウトドアが自由に交差しあう必然性を感じた大きなきっかけになりました。そこにたくさんの可能性、チャンスが見えてきたとも感じています。閉じ込められていた1年が過ぎて、いま誰もが世界や日常生活の混乱から、仕事をしたりリラックスしたりするうえでの新しい方法を求めていると思います。とりわけ多くの人がスペースに境界のない外の世界、アウトドアに安らぎを求めているのではないでしょうか。
この近年で、アウトドアはもっともふさわしいと感じるテーマです。私たちが今年発表した〈グビ〉の《ビートルチェア アウトドア》は、まさに時を捉えた作品になりました。家の壁を越え、インテリアのアイデンティティを広げて新しいデザインの道を模索する、そんな冒険をまだまだ楽しみたいですね。
〈グビ〉をはじめ、〈HAY〉、〈ロイヤル コペンハーゲン〉、〈フリッツ・ハンセン〉、〈クヴァドラ〉といった北欧ブランドから、イタリアの〈ミノッティ〉なども手がけている。昨年は日本でエルメス全店舗のウィンドウディスプレイに起用されるなど、その活躍は広く知られている。
──まず、お二人のデザインフィロソフィーについてお聞かせください。
私たちのアイデンティティは、スカンジナビアのクリーンなミニマリズムと、イタリアのオープンで豊かな表現力や性質が調和した、2つのデザイン文化のバランスの中で仕事をしている点にあると思います。優美かつ古典的なデザインと、モダンで情熱的なデザインの折衷でユニークなバランスを共有しています。
また、スティーネは学生時代に東京の槇文彦スタジオで研修を受けていました。この日本との関わりが、私たちがデザインする上でスタイルの形成に大きく影響していることは間違いないです。日本の伝統的なクラフトマンシップに基づいた、シンプルで洗練されたデザイン。建築や日用品に至るまで、たくさんの刺激を受けてきました。そういった意味でも私たちのデザインが日本の多くの方にとって受け入れられるものであれば、こんな嬉しいことはないですね。
──ここ数年のコロナ禍の影響を受け、デザインそのものに対しての意識の変化はありましたか?
デザインという視点から見れば、コロナ禍を経験し、インドアとアウトドアが自由に交差しあう必然性を感じた大きなきっかけになりました。そこにたくさんの可能性、チャンスが見えてきたとも感じています。閉じ込められていた1年が過ぎて、いま誰もが世界や日常生活の混乱から、仕事をしたりリラックスしたりするうえでの新しい方法を求めていると思います。とりわけ多くの人がスペースに境界のない外の世界、アウトドアに安らぎを求めているのではないでしょうか。
この近年で、アウトドアはもっともふさわしいと感じるテーマです。私たちが今年発表した〈グビ〉の《ビートルチェア アウトドア》は、まさに時を捉えた作品になりました。家の壁を越え、インテリアのアイデンティティを広げて新しいデザインの道を模索する、そんな冒険をまだまだ楽しみたいですね。
彼らがデザインした〈グビ〉の代表作、カブトムシの形状からインスピレーションを得てデザインされた《ビートルチェア》と、コウモリが元となった《バットチェア》。自然界に存在する親しまれやすい題材やネーミングに反し、フォルムからは優美かつ精巧にディテールを追求し尽くしたことがうかがえる。2013年の発売から約8年の歳月を経て、この秋、新たに《ビートルチェア アウトドア》と《バットチェア アウトドア》が登場した。
〈グビ〉は、デンマークで1967年に家具メーカーとして創業されたインテリアブランド。埋もれたままの良質なデザインを発掘、編集し確かな技術で復刻させ、その価値を再認識させることに成功したブランドだ。同時に先鋭的なデザイナーをいち早く起用し、積極的に新製品を発表するなど独自のアイデンティティを構築している。この10年で北欧のみならず、世界的に飛躍的したブランドのひとつと言えるだろう。ガムフラテーシは〈グビ〉の筆頭格と言えるデザインユニットだ。
〈グビ〉は、デンマークで1967年に家具メーカーとして創業されたインテリアブランド。埋もれたままの良質なデザインを発掘、編集し確かな技術で復刻させ、その価値を再認識させることに成功したブランドだ。同時に先鋭的なデザイナーをいち早く起用し、積極的に新製品を発表するなど独自のアイデンティティを構築している。この10年で北欧のみならず、世界的に飛躍的したブランドのひとつと言えるだろう。ガムフラテーシは〈グビ〉の筆頭格と言えるデザインユニットだ。
──《ビートルチェア アウトドア》《バットチェア アウトドア》について、聞かせてください。
オリジナルの《ビートルチェア》の原案は、自然界に存在する有機的なもののアプローチから始まりました。そこで私たちはカブトムシの構造に注目したのです。アウトドアバージョンはオリジナルと同様に自然界の構造、木の枝の付け根に見られるサポートシステムに着目しました。
オリジナルの《ビートルチェア》の原案は、自然界に存在する有機的なもののアプローチから始まりました。そこで私たちはカブトムシの構造に注目したのです。アウトドアバージョンはオリジナルと同様に自然界の構造、木の枝の付け根に見られるサポートシステムに着目しました。
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illustration Yoshifumi Takeda
小西亜希子
こにし あきこ 1990年代後半からミッドセンチュリー、北欧デザインを専門としたインテリア業界にて活動。MD、商品開発、PR、企画、VMDから、ブランドディレクションまでこなす。著書に『カイ・フランクへの旅』(グラフィック社)。
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