CULTURE
現“在”美術家・宇川直宏が問う、AI時代のクリエイティブ。
『カーサ ブルータス』2023年10月号より
September 8, 2023 | Culture, Art | a wall newspaper | text_Housekeeper
AI時代に作家は作品のどこに存在しているのか? 「DOMMUNE」開局から13年、宇川直宏が語ること。
宇川直宏が主宰するライブストリーミング・チャンネル「DOMMUNE」が開局13年目を迎える今、1万時間以上におよぶ番組アーカイブを総観する展覧会が〈練馬区立美術館〉で始まる。「描く」という行為そのもののアップデートを図る展示で、メインテーマは「生成AI時代のクリエイティブ」。日夜配信を続けることで現代メディアの可能性を拡張してきた宇川に、生成AI時代の作家性について聞いた。
「AIを考えるキーワードは “天才性“ だと思っています。天才が果たしてどういう存在なのかを考えれば、現行のAIは天才にはなり得ない。あくまで秀才なんですよ。東大で人工生命を研究している池上高志さんも言っていました。ルンバを発明したロドニー・ブルックスが考える “ジュース” 、つまり魂の正体である “最後の一滴” が足りないからです。じゃあなぜここまで惹きつけられるのかというと、かつて誰も到達し得なかった “究極の知の総体” だからです」
「AIを考えるキーワードは “天才性“ だと思っています。天才が果たしてどういう存在なのかを考えれば、現行のAIは天才にはなり得ない。あくまで秀才なんですよ。東大で人工生命を研究している池上高志さんも言っていました。ルンバを発明したロドニー・ブルックスが考える “ジュース” 、つまり魂の正体である “最後の一滴” が足りないからです。じゃあなぜここまで惹きつけられるのかというと、かつて誰も到達し得なかった “究極の知の総体” だからです」
「では天才はなんなのかというと、“知能だけでは解決できない天変地異を呼び覚ます存在”。言うなればバグやエラーを排除して正当なプロンプト(AIに対する指示)から視覚情報だけを映し出すのではなく、その中でいかに偶発的事故を味方につけて、暴走性を招き入れる回路を持てるのか。それにかかっていると思います。
つまりバグやエラー、ノイズである存在が生命と言えるのです。生命の魅力に立ち返りたいんですよ、僕は。それらと知能がどういう形で美しくコラボしていけばいいのかということも、展覧会で見せられたらと思っています」
展示の目玉となるのは、真鍋大度率いるライゾマティクスとコラボしたAI作品。ファインチューニング(学習モデルを微調整)したAIが、何十億フレームものDOMMUNEのアーカイブデータを基に、人間と絵画を描くという。
「詳しくは言えませんが、すごい問題提起になりそうです。知能ではなく生命を宿している自分自身が、作家として何を描けばいいのか、に挑みました。核心の答えを見にいく展示です」
つまりバグやエラー、ノイズである存在が生命と言えるのです。生命の魅力に立ち返りたいんですよ、僕は。それらと知能がどういう形で美しくコラボしていけばいいのかということも、展覧会で見せられたらと思っています」
展示の目玉となるのは、真鍋大度率いるライゾマティクスとコラボしたAI作品。ファインチューニング(学習モデルを微調整)したAIが、何十億フレームものDOMMUNEのアーカイブデータを基に、人間と絵画を描くという。
「詳しくは言えませんが、すごい問題提起になりそうです。知能ではなく生命を宿している自分自身が、作家として何を描けばいいのか、に挑みました。核心の答えを見にいく展示です」
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