装幀家・菊地信義、手でつくる本の身体。
『カーサ ブルータス』2020年1月号より
| Culture, Design | a wall newspaper | photo_Natsumi Kakuto text_Keiko Kamijo editor_Yuka Uchida
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きくちのぶよし 1943年東京・神田生まれ。広告代理店を経て1977年に独立。中上健次や古井由吉等の作家から絶大な信頼を得る。著書に『装幀談義』『新・装幀談義』『樹の花にて』『装幀思案』等。

(c) 2019「つつんで、ひらいて」製作委員会

『イエス伝』若松英輔(2015年/中央公論新社)
菊地の装幀は文字のインパクトの強いものが多く、映画の中でも文字のみでモノクロの装幀がいいと言う。本書も簡素だが、ミリ単位の緻密な調整が施されている。
菊地の装幀は文字のインパクトの強いものが多く、映画の中でも文字のみでモノクロの装幀がいいと言う。本書も簡素だが、ミリ単位の緻密な調整が施されている。

『サラダ記念日』俵万智(1987年/河出書房新社)
著者本人が頬杖をついたポートレートを大胆に大きく扱った非常にインパクトのある表紙。1987年に初版3,000部で発行したにもかかわらず、280万部のベストセラーになった。
著者本人が頬杖をついたポートレートを大胆に大きく扱った非常にインパクトのある表紙。1987年に初版3,000部で発行したにもかかわらず、280万部のベストセラーになった。

『主題と構造 武田泰淳と戦後文学』粟津則雄(1977年/集英社)
ダ・ヴィンチの大洪水の素描がベースになった装幀。粟津は本書の装幀を「一種の生きもののように問いかけてくる」と評し、以後の装幀をすべて菊地に託している。
ダ・ヴィンチの大洪水の素描がベースになった装幀。粟津は本書の装幀を「一種の生きもののように問いかけてくる」と評し、以後の装幀をすべて菊地に託している。

『十八歳、海へ』中上健次(1977年/集英社)
菊地が独立して間もない頃に手がけた中上健次の短編小説をまとめた一冊。若者の性や恋愛、親子関係という小説のテーマに対し、海の函と反転させた中身という対比を用いた。
菊地が独立して間もない頃に手がけた中上健次の短編小説をまとめた一冊。若者の性や恋愛、親子関係という小説のテーマに対し、海の函と反転させた中身という対比を用いた。

『食うものは食われる夜』蜂飼耳(2005年/思潮社)
詩集は紙と語感を合わせて味わうものだと菊地は言う。生き血を思わせる赤黒いスリーブの中から登場するのは、乳白色でふかっとしたカバー。動物の背骨をイメージしたそうだ。
詩集は紙と語感を合わせて味わうものだと菊地は言う。生き血を思わせる赤黒いスリーブの中から登場するのは、乳白色でふかっとしたカバー。動物の背骨をイメージしたそうだ。