CULTURE
装幀家・菊地信義、手でつくる本の身体。
『カーサ ブルータス』2020年1月号より
| Culture, Design | a wall newspaper | photo_Natsumi Kakuto text_Keiko Kamijo editor_Yuka Uchida
15,000冊以上もの本の装幀を手がけた装幀家・菊地信義のドキュメンタリー映画『つつんで、ひらいて』が公開。
「エが1mm左だ」「背の “伝” を3%長体かけてみてもらえる?」。装幀家の菊地信義は映画の中で『イエス伝』の装幀を仕上げる際、原寸での出力を見ながら何度も指示を出し、手元で触りながら確認をする。コンピュータは使わない。素人目には違いがさっぱりわからない微細な調整を行い、最後「できた!」と微笑む。
映画『つつんで、ひらいて』は、装幀家・菊地信義と装幀の仕事に迫るドキュメンタリーだ。菊地は1977年に独立し、その後1万5000冊もの本を手がける装幀家だ。
映画の中では菊地の仕事を取り上げるだけでなく、文字情報から紙や書体を選び取り、“身体” を与えて一冊の本に仕上げる「装幀家」の仕事を丁寧に紐解く。誰もが知っている“本”が、こんなにもたくさんの工程を経てつくられているのかと驚嘆するだろう。
映画の中では菊地の仕事を取り上げるだけでなく、文字情報から紙や書体を選び取り、“身体” を与えて一冊の本に仕上げる「装幀家」の仕事を丁寧に紐解く。誰もが知っている“本”が、こんなにもたくさんの工程を経てつくられているのかと驚嘆するだろう。
神田生まれの菊地は、デザインの日本語を江戸弁の「こさえる」だという。家族を思いごはんを拵えるように、テクストから広がる世界を想像しながら手を動かしてつくる。菊地の仕事を見ていると、本は触って匂って聴いて、五感で味わうものだと再認識させられる。
映画『つつんで、ひらいて』予告編
『つつんで、ひらいて』
装幀家・菊地信義の仕事と人物に迫り、編集者や印刷所等の “本” を取り巻く人々を描いたドキュメンタリー。監督は広瀬奈々子。12月14日より渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開。
