内藤礼が作り出す“生”の内と外。|青野尚子の今週末見るべきアート
August 10, 2018 | Art | casabrutus.com | photo_Manami Takahashi text_Naoko Aono editor_Keiko Kusano
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7室の展示。一つだけ帽子をかぶった《ひと》は明るい8室に眼差しを向けている。
1室の最初には小さなガラスのビーズが浮いている作品《母型》が。「ものが現れる瞬間に気づくことを大切に思っています」(内藤)。
《母型》のガラスビーズは吹きガラスでできている。息を吹き込むことは魂を吹き込むイメージでもある。
《母型》では実際に中を通り抜けることはできないが、内部を通過することが想定されていて、その“入り口”と“出口”にあたるところに小さな鈴がある。「こういった空間を通過して私たちは生まれてくるのではないか」(内藤)
隣の8室から光が入る7室は時間が経つにつれて様相を変える。この展示室で観客が持ち帰ることができる直径78ミリの丸い紙片は、誕生の時に与えられる赤ん坊が立つことができる最小の面積を表したもの。
天窓のない2室は6室とつながっていて、互いに見ることができる。白いフレームに収められたガラスは窓のイメージでもある。
半分より少し多い水が入った瓶が2つ並んでいる。「相手に近づいて自分の水を注ごうとしている。注ぐと自分は空っぽになってしまうけれど、それでもいいと思って注ごうとしている」(内藤)
4室は2室と似たような構成。「生活や人生は繰り返される」(内藤)、そのことを象徴する。
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