ART
彫刻と映像とで世界に浸る、 アルベルト・ジャコメッティ展。
| Art, Fashion | casabrutus.com | photo_Makoto Ito text_Mako Yamato Fondation Louis Vuitton, Paris
〈エスパス ルイ・ヴィトン大阪〉で開催中のアルベルト・ジャコメッティの展覧会。昼と夜で異なる表情を見せる彫刻作品と映像で、彼の魅力と思考に触れる。
《大きな女性立像Ⅱ》（1960年）。1960年代に制作された一連の《大きな女性立像》は、女性の裸体を扱ったジャコメッティ最後の作品。暗褐色の緑青を施したブロンズ。前傾した台座により、彫刻が上に向かう印象が強調され、削ぎ落とされたようなシルエットと、肥大化した足部によって空間との新たな関係性が生み出されている。
《棒に支えられた頭部》（1947年）。20歳のジャコメッティが、大切な旅の道連れであったペーター・ファン・ムースルの突然の死によってもたらされた悲痛を表現している。ただ究極的な「沈黙の叫び」が再現されており、その後の作品に通底するビジョンとなっている。
1901年、スイスで画家の父の元に生まれたアルベルト・ジャコメッティ。幼い頃からデッサンや彫刻に取り組み、22年にパリに移り住んでからは66年にスイスで亡くなるまで、フランスで創作を行った。
奥に見えるのは1954年に撮影された、パリのアトリエにいるアルベルト・ジャコメッティ。展示された彫刻作品は、まるでアトリエから抜け出してきたようにも見える。
《男の頭部（ロタールⅠ）》（1964-65年）。ルーマニア出身の前衛写真家エリ・ロタールは、ジャコメッティ最後の彫刻作品のモデルとなり、3つの作品となった。《男の頭部（ロタールⅠ）》は頭部と肩のみからなる、もっとも小さな作品。凝縮したサイズで触覚に訴える作品からは、正面切った自信が感じられる。
《座る男の胸像（ロタールⅢ）》（1965年）。ジャコメッティ最後の作品に数えられる。痩せ衰えた身体と異様に長い腕が、強い眼差しとコントラストを奏している。
《男の胸像（ロタールⅡ）》（1964-65年）。2つ目となるこの作品は右肩が消失し、左耳もない。目は苦悩を湛え、身体は崩壊しようとしている。
シュルレアリストな作風で名声を得るも早々に決別し、人物モデルを対象とした手法に回帰したジャコメッティ。人物像がいかに空間に存在して空間に影響を与えるかを追求し、50年代に入ると彫刻作品の身体は次第に細くなっていく。見たままにモデルを形にすることを突き詰め、フォルムを究極的に単純化することで人物の真の姿を立ち上らせたのだ。
その20世紀を代表する彫刻家の作品展が現在、〈エスパス ルイ・ヴィトン大阪〉での3回目の展覧会として開催されている。
その20世紀を代表する彫刻家の作品展が現在、〈エスパス ルイ・ヴィトン大阪〉での3回目の展覧会として開催されている。
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