ART
ファッション界注目の写真家ココ・カピタンに聞く、現代人の生のかたち。
| Art | casabrutus.com | photo_Daisuke Takamura text_Masanobu Matsumoto
グッチやディオールとのコラボレーションワークなど、近年ファッション界でも注目を集める写真家、ココ・カピタン。日本初の個展を〈PARCO MUSEUM TOKYO〉で開催中の彼女にインタビューしました。
ココ・カピタンは、スペイン出身のフォトグラファー。自身の創作活動のほか、グッチやディオール、A.P.C.などのキャンペーンビジュアルの制作でも知られ、この2月にはルイ・ヴィトンのフォトブック「ファッション・アイ」シリーズから、シベリア鉄道での旅路を撮影した『TRANS-SIBERIAN COCO CAPITÁN』が刊行されたばかり。最注目の写真家のひとりだ。
〈PARCO MUSEUM TOKYO〉では彼女の日本初となる個展『NAÏVY: in fifty (definitive) photographs』が開催中。展示の中心になるのは、50枚の写真作品。この約10年間のうちに撮った写真を見返したとき、“繋がり”を感じたものを集めたものだそうで、その際に頭に浮かんできたテーマが「NAÏVY」だったと本人。これは、「navy(ネイビー)」と「naive(ナイーブ)」を掛け合わせた、ココの船乗りたちを表す造語。幼少期から海へ対する憧れがあった、とも言う。
「私は小さい頃、アーティスティックスイミングのチームに所属していて、毎日4時間、プールで練習をしていました。ただチームメイトから仲間はずれにされて。その後、海沿いの街に引っ越したのですが、そこで無限に広がる海に触れて、四角いプールの記憶、アーティスティックスイミングの呪縛から、解放された気持ちになったことがあります」
今回の「NAÏVY」シリーズには、セーラー服を着た男女、そして岩場に紐で括り付けられた小型ボート、木にぶら下がった果実や誰かの家の中など、何気ない日々の風景なども混じる。印象的なのは、会場に記された「私は思いがけず道に迷いたかった、私は誰もが道に迷っていて、そのあてどなさを祝福できる集団の一員になりたかった」というステートメントだ。
「私は小さい頃、アーティスティックスイミングのチームに所属していて、毎日4時間、プールで練習をしていました。ただチームメイトから仲間はずれにされて。その後、海沿いの街に引っ越したのですが、そこで無限に広がる海に触れて、四角いプールの記憶、アーティスティックスイミングの呪縛から、解放された気持ちになったことがあります」
今回の「NAÏVY」シリーズには、セーラー服を着た男女、そして岩場に紐で括り付けられた小型ボート、木にぶら下がった果実や誰かの家の中など、何気ない日々の風景なども混じる。印象的なのは、会場に記された「私は思いがけず道に迷いたかった、私は誰もが道に迷っていて、そのあてどなさを祝福できる集団の一員になりたかった」というステートメントだ。
「誰しも社会の中で自分が適合するところを探しながら生きていると思います。ただ、私自身は社会にうまくハマったという思いをしたことがなくて。ずっと“迷子”になっている感覚がありました。ただ、それは必ずしもネガティブなことではないとも思うのです。迷子になるということは、社会を別の視点から見ることができるということだから。この作品では、みんなが“迷子になった船乗り”。誰もがどこに属したらいいのかと悩み、あるいはどこに属してもいいんじゃないかと葛藤している。この『NAÏVY』はそういう人をすべて肯定する世界、そういう部分も自分の個性として大事にし認め合う世界を表している作品です」
象徴的なのは、下半身が裸になったセーラー服の女の子が海にダイブする一枚だ。
「セーラー服は制服。どこかに属していることのシンボル。それを脱ぐこと、つまりヌードになることは、自由や解放の象徴なのかもしれない。自分のこれまでの作品を見返したとき、そういう下半身が裸の写真をくりかえし撮っていることに気づいて、今回の展示でも見せています。上半身はセーラー服、下半身はヌードという女の子は、確かにどこかに属しているのだけれども、個性や自由は持っているんだということの表れです」
現代人のナイーブな生のありかたに寄り添い、背中を押してくれるような作品だ。なお、展覧会の開催に際して、本シリーズをまとめた作品集も6月に発売予定だ。
象徴的なのは、下半身が裸になったセーラー服の女の子が海にダイブする一枚だ。
「セーラー服は制服。どこかに属していることのシンボル。それを脱ぐこと、つまりヌードになることは、自由や解放の象徴なのかもしれない。自分のこれまでの作品を見返したとき、そういう下半身が裸の写真をくりかえし撮っていることに気づいて、今回の展示でも見せています。上半身はセーラー服、下半身はヌードという女の子は、確かにどこかに属しているのだけれども、個性や自由は持っているんだということの表れです」
現代人のナイーブな生のありかたに寄り添い、背中を押してくれるような作品だ。なお、展覧会の開催に際して、本シリーズをまとめた作品集も6月に発売予定だ。
ココ・カピタン『NAÏVY: in fifty (definitive) photographs』
〈PARCO MUSEUM TOKYO〉
東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 4F TEL 03 6455 2697。~5月9日。11時~20時(入場〜19時30分)。会期中無休。入場料800円。
