ART
ギルバート&ジョージの大型3連作が 〈エスパス ルイ・ヴィトン東京〉で展示。
『カーサ ブルータス』2021年12月号より
November 9, 2021 | Art, Fashion | photo_Satoshi Nagare text_Mari Matsubara
フォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵品を日本にいながらにして鑑賞できる注目のプログラム。今回、東京で展示が始まったのはイギリスを拠点に活動するパンクな現代美術家、ギルバート&ジョージの作品です。
超特大サイズの3連画に圧倒される。
3つボタンスーツを定番ルックとして活躍するアートデュオの作品が日本にやってきた! 東京・表参道の〈エスパス ルイ・ヴィトン東京〉で展示が始まった、現代美術家ギルバート&ジョージによる作品は3連画で、縦約3.6m、横幅は中央の一点では10mを超える超特大サイズ。展示室に足を踏み入れた瞬間、その迫力に圧倒される。
イタリア出身のギルバート・プロッシュと、イギリス出身のジョージ・パスモアからなるユニットは60年代末からアート活動を始め、本人たちがしばしば作品の中に登場することで知られている。英国紳士の象徴であるコンサバティブなスーツ姿(もしくは素っ裸)や、教会のステンドグラスを彷彿させる黒いグリッドの画面構成が特徴だが、そのメッセージはかなりパンキッシュだ。社会通念やタブーを吹き飛ばし、階層社会やジェンダーの問題にも踏み込みながら、ポップに、ユーモアを込めて、観る者をアジテートする。
イタリア出身のギルバート・プロッシュと、イギリス出身のジョージ・パスモアからなるユニットは60年代末からアート活動を始め、本人たちがしばしば作品の中に登場することで知られている。英国紳士の象徴であるコンサバティブなスーツ姿(もしくは素っ裸)や、教会のステンドグラスを彷彿させる黒いグリッドの画面構成が特徴だが、そのメッセージはかなりパンキッシュだ。社会通念やタブーを吹き飛ばし、階層社会やジェンダーの問題にも踏み込みながら、ポップに、ユーモアを込めて、観る者をアジテートする。
現代の叙事詩のような作品。
3連画はそれぞれ、タイトルが作品内に記されている。中央の《Class War(階級闘争)》では、若者たちが仕事着の長ズボン姿で、赤い棒を手に列をなして一方向へ突き進む姿を、ギルバート&ジョージの巨大な目と赤い薔薇の花壇が挟む。《Militant(闘争家)》では若者4人が、獲得した自由を象徴する棒を手に仁王立ちし、足元の赤色が革命の炎と流血を想像させる。そして《Gateway(入り口)》では、都市の白黒写真の前で若者たちは秩序を乱し、体を屈して不安げに頭上を窺っている。その視線の先には巨人化した作家自身が門番のように立っている。産業革命、都市化、労働者の闘争、若者の反抗、英国の赤い薔薇と、様々なレファレンスをちりばめた作品は、まるで現代の叙事詩のようだ。
フォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵品の中から選りすぐった作品が幅広く、世界中のより多くの人々の目に触れられることを目的とした「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環としてやってきたこの作品。大空間でこれだけの大作と対峙するという経験は、公共の美術館でもそうそう味わえるものではないだろう。それも、ショッピングの合間にふらりと立ち寄って無料で鑑賞できるという贅沢さ。けやき並木のもと列をなして歩く人たちに、ぜひ〈ルイ・ヴィトン表参道店〉の7階まで上がってきて、この大作に出会ってほしい。
フォンダシオン ルイ・ヴィトンの所蔵品の中から選りすぐった作品が幅広く、世界中のより多くの人々の目に触れられることを目的とした「Hors-les-murs(壁を越えて)」プログラムの一環としてやってきたこの作品。大空間でこれだけの大作と対峙するという経験は、公共の美術館でもそうそう味わえるものではないだろう。それも、ショッピングの合間にふらりと立ち寄って無料で鑑賞できるという贅沢さ。けやき並木のもと列をなして歩く人たちに、ぜひ〈ルイ・ヴィトン表参道店〉の7階まで上がってきて、この大作に出会ってほしい。

GILBERT & GEORGE CLASS WAR, MILITANT, GATEWAY SELECTED WORK FROM THE COLLECTION
フォンダシオン ルイ・ヴィトンが所蔵するアーティスト、ギルバート&ジョージの1971~2019年の作品群から選ばれた1986年制作の大型3連作は日本初公開となる。
〈エスパス ルイ・ヴィトン東京〉東京都渋谷区神宮前5-7-5 ルイ・ヴィトン表参道ビル7F。TEL 0120 00 1854。~2022年3月3日。11時~19時。休館日は店舗に準じる。入場無料・予約不要。
