ART
名和晃平も参加を表明! 誰もがアートに関われるアプリ《ArtSticker》が話題です。
May 16, 2019 | Art | casabrutus.com | photo_Kaori Ouchi text_Naoko Aono, Housekeeper
彫刻家・名和晃平が新たに参加を表明したアーティスト支援アプリ《ArtSticker》。このアプリでいったい何ができるのか、そしてこれからのアート界をどう変えていくのか!? アプリを開発したスマイルズ代表の遠山正道と名和に、その可能性を聞きました。
スマイルズの遠山正道がアートの民主化を目指して立ち上げたプロジェクト「The Chain Museum」。そのプラットフォームとなるアプリ《ArtSticker(アートスティッカー)》が今年2月に、β版としてローンチされた。
これはアプリ内で「スティッカー」を購入することで、少額からアーティストを支援できるサービス。アートは一般的に高額であり、どうしても限られた人々のものとなっていたが、より一般のアート愛好者に開かれたものとなる可能性が見えてきている。
《ArtSticker》に参画しているアーティストは増えてきているおり、さらに今回、新たに名和晃平の作品も加わった。具体的には4月27日から開催されている〈金沢21世紀美術館〉の展示《Foam》、および、〈HOTEL ANTEROOM KYOTO〉、〈UDSオフィス・Relax食堂 Harajuku〉、中目黒高架下 〈Pavilion〉に展示されている作品が《ArtSticker》で体験できるようになった。
遠山と名和の2人に《ArtSticker》の可能性について話を聞いた。
これはアプリ内で「スティッカー」を購入することで、少額からアーティストを支援できるサービス。アートは一般的に高額であり、どうしても限られた人々のものとなっていたが、より一般のアート愛好者に開かれたものとなる可能性が見えてきている。
《ArtSticker》に参画しているアーティストは増えてきているおり、さらに今回、新たに名和晃平の作品も加わった。具体的には4月27日から開催されている〈金沢21世紀美術館〉の展示《Foam》、および、〈HOTEL ANTEROOM KYOTO〉、〈UDSオフィス・Relax食堂 Harajuku〉、中目黒高架下 〈Pavilion〉に展示されている作品が《ArtSticker》で体験できるようになった。
遠山と名和の2人に《ArtSticker》の可能性について話を聞いた。
遠山 私はビジネスサイドの人間ですが、数年前からスマイルズは作家として芸術祭に出展しています。前回の『瀬戸内国際芸術祭 2016』では〈檸檬ホテル〉を出展したのですが、「翌年何をしようか?」ということを考えて。その際スマイルズの作家としてのコンテクストを考えた時、やはり「ビジネス」という視点に我々の独自性があり、それはアートサイドからは出てこないものだな、と考えたのです。
ビジネスは「自分ごと」という視点が大切という点でアートに似ています。アートは自分の中から湧き上がるものを提案する。ビジネスも本来はそうだったはずなんですが、今はマーケットに合わせて展開するという完全にマーケティングの時代になってしまった。逆にアートはビジネス的な視点が無いと自律することができず、自分が作りたいものを実現することが難しい。《ArtSticker》はアートの自律をビジネスサイドから支援するシステムを作るもので、われわれが手がける意義もそこにあると思っています。
名和 アーティストがギャラリーに所属して活動する際に、マーケットに乗りやすいものを求められる現実があります。また、実際、インスタレーションなどは作品としてなかなか売りにくい。でもこの《ArtSticker》のようなシステムが広まっていけば、それ以外の可能性を開いてくれるかもしれない。支援の力によって、マーケット主導ではない、その枠を超えるものも積極的に展開していけるのではないか。例えば大英博物館のドネーションのシステムは、システムとしてすごくいい。常設展は入場無料ですが、寄付をするボックスが置いてあるというものです。
こういった課題に対して美術館とかギャラリーという既存のシステムだけでは対応できていない部分があります。もちろん内部の人たちはみんなその課題をよく理解している。新しいシステムが求められている状況だと思います。
《ArtSticker》では鑑賞者がスティッカーを購入することで、作品に対して支援を行う。今後、美術に限らず、演劇などのプロジェクトにも支援が可能になる。人々はスティッカーを購入して支援をすることで、そのプロジェクトやアーティスト、作品などと深くつながることができるのだ。
ビジネスは「自分ごと」という視点が大切という点でアートに似ています。アートは自分の中から湧き上がるものを提案する。ビジネスも本来はそうだったはずなんですが、今はマーケットに合わせて展開するという完全にマーケティングの時代になってしまった。逆にアートはビジネス的な視点が無いと自律することができず、自分が作りたいものを実現することが難しい。《ArtSticker》はアートの自律をビジネスサイドから支援するシステムを作るもので、われわれが手がける意義もそこにあると思っています。
名和 アーティストがギャラリーに所属して活動する際に、マーケットに乗りやすいものを求められる現実があります。また、実際、インスタレーションなどは作品としてなかなか売りにくい。でもこの《ArtSticker》のようなシステムが広まっていけば、それ以外の可能性を開いてくれるかもしれない。支援の力によって、マーケット主導ではない、その枠を超えるものも積極的に展開していけるのではないか。例えば大英博物館のドネーションのシステムは、システムとしてすごくいい。常設展は入場無料ですが、寄付をするボックスが置いてあるというものです。
こういった課題に対して美術館とかギャラリーという既存のシステムだけでは対応できていない部分があります。もちろん内部の人たちはみんなその課題をよく理解している。新しいシステムが求められている状況だと思います。
《ArtSticker》では鑑賞者がスティッカーを購入することで、作品に対して支援を行う。今後、美術に限らず、演劇などのプロジェクトにも支援が可能になる。人々はスティッカーを購入して支援をすることで、そのプロジェクトやアーティスト、作品などと深くつながることができるのだ。
名和 例えばアーティストとして、とても大事なステージとなる国際的なプロジェクトにお声掛けいただくことがあります。そこで妥協することはできないので、制作費が予算を超えてしまった場合、アーティストとしては(自腹ででも)やりとげないといけない、という状況になることがあります。それが続くと、アーティストは消耗してしまいますよね。
遠山 これまで閉じられた世界とならざるを得なかったアート界ですが、《ArtSticker》では、アートファンに広く門戸を開くものです。マイクロパトロネージュすることにより自分ごととしてアート作品を体験することができる。自分の「好き」や評価を人々と共有することができるプラットフォームです。《ArtSticker》上では、アーティストを支援することによってレビューを書き込めます。自分が「好き」という気持ちを表現できるプラットフォームであり、そこからアーティスト自身との交流も広がっていくものです。
名和 テクノロジーの進歩によって、美術館、ギャラリーとは別の経路でアートが支援される可能性が増えることは良いことだと思います。若手のアーティストにとっても、例えばこの《ArtSticker》で行われるような支援のシステムによって、アートマーケットの論理に収まらない作品も作りやすくなるはずです。
遠山 これまで閉じられた世界とならざるを得なかったアート界ですが、《ArtSticker》では、アートファンに広く門戸を開くものです。マイクロパトロネージュすることにより自分ごととしてアート作品を体験することができる。自分の「好き」や評価を人々と共有することができるプラットフォームです。《ArtSticker》上では、アーティストを支援することによってレビューを書き込めます。自分が「好き」という気持ちを表現できるプラットフォームであり、そこからアーティスト自身との交流も広がっていくものです。
名和 テクノロジーの進歩によって、美術館、ギャラリーとは別の経路でアートが支援される可能性が増えることは良いことだと思います。若手のアーティストにとっても、例えばこの《ArtSticker》で行われるような支援のシステムによって、アートマーケットの論理に収まらない作品も作りやすくなるはずです。
《ArtSticker》
アート作品や展覧会を探したり、作品や作家の詳細、場所などを知ることができるアプリ。気に入ったアート作品には金額に応じた色のスティッカーを送ることができ、アプリ内で作品に自分の名前をクレジットできる。アーティストとの交流の場ともなる、「好き」をシェアするアートのSNSでありプラットフォーム。現在iOS版を先行して公開中。
アート作品や展覧会を探したり、作品や作家の詳細、場所などを知ることができるアプリ。気に入ったアート作品には金額に応じた色のスティッカーを送ることができ、アプリ内で作品に自分の名前をクレジットできる。アーティストとの交流の場ともなる、「好き」をシェアするアートのSNSでありプラットフォーム。現在iOS版を先行して公開中。
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