新素材は珍素材!? 杉本博司+榊田倫之による〈新素材研究所〉10年間の歩み。
November 24, 2018 | Architecture, Art | casabrutus.com | photo_Kei OKANO text_Rie Nishikawa
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会場は天王洲の〈建築倉庫ミュージアム〉。
エントランスに設置された「箒垣」。主に数寄屋建築で使用されている竹穂垣の竹穂を竹ほうきに置き換えたもの。竹ほうきは小売価格の安価な中国製を使用。銘木や古材だけでなく、既製品でも新たな使い方を模索している。
〈新素材研究所〉発足前の杉本博司の初の建築作品である〈護王神社〉(香川県直島)再建プロジェクトの実際の素材と同一材で精緻に製作された竣工模型。
素材とともに代表的なプロジェクトの、杉本博司が撮影した写真と模型を展示する。
写真手前下から左に伸びるのは「光学ガラス」。カメラのレンズなどに使用されている透明度の高い硝子だ。押し出しで形作られた硝子の塊は古材とともに現代の材料として、モノとしての輝きを秘めている。〈小田原文化財団江之浦測候所〉では舞台の床に使用されている。右は現在、ヴェルサイユ宮殿に展示されている「茶室 聞鳥庵(もんどりあん)」の模型。他、プリズム断片など。
杉本博司の構想から20年をかけて2017年に開所した小田原文化財団の複合施設〈小田原文化財団江之浦測候所〉(神奈川県小田原市)の模型が杉本の代表作品〈海景〉とともに展示されている。
展示台手前に3点並べられているのが「泉涌寺 敷瓦」で江戸時代後期のもの。左奥の壁に立て掛けられているものは「岩絵具封入積層ガラス」。名前の通り、岩絵具を2枚のガラスに封入したもので、東京ミッドタウン内の〈ISETAN SALONE〉の什器として使用されている。
シグネチャーデザインのひとつ「縦桟障子」。横桟をまったく使用せずに縦桟だけで構成された障子だ。日本の伝統的な障子を現代の技術で生まれ変わらせたもので、桟の細さの限界に挑戦し、繊細な縦桟による美しい陰影を生み出す。