【東京・荻窪】伊東忠太が手がけた和洋折衷の邸宅建築と文化人ゆかりの名庭園へ|甲斐みのりの建築半日散歩
| Architecture, Culture, Travel | casabrutus.com | photo_Kaoru Yamada text_Minori Kai
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広縁と外部を仕切るガラス戸の特徴的なデザインは伊東忠太によるもの。広縁や廊下の照明は1つだけ残っていたものを元に復原された。

南側の芝生広場から眺める〈荻外荘〉。大倉喜八郎の別邸など全国に4棟が現存するのみの、伊東忠太が手がけた貴重な邸宅建築の一つ。

入澤達吉は客人をもてなすため、寄木張りの食堂に大きなテーブルを置いた。葡萄とリスのデザインが施されたキャビネットは古写真を参考に復原。腰壁壁紙の模様は双鳳文様で、長押上壁紙文様は鶏頭文様。

中国風に設えた玄関前の応接室。床には龍の敷瓦が敷き詰められている。中央に配する螺鈿家具には、梅とカササギの透かし彫りと牡丹の彫刻が。

応接室の天井に貼られた4枚の龍の天井画は、上海出身の書画家・王一亭が描いたもの。

1940(昭和15)年に「荻窪会議」がおこなわれた客間。壁紙、絨毯の色、文様は、古写真を分析して復原。テーブルやソファなどの家具は三越伊勢丹プロパティ・デザインが復原を手がけた。

創建当時は天井が高い洋室だったのを、近衞文麿が書斎として和室に改修。近衞は戦犯容疑でGHQからの逮捕命令を受けた出頭期限の朝、この部屋で自決している。

近衞文麿が増築した別棟の和室は、売店・喫茶室に。新たに設えたテーブルと椅子は〈Koizumi Studio〉を主宰する 小泉誠のデザイン。

杉並区内の銘菓を味わうことができる喫茶室で、〈菓人 結人〉のコーヒー羊羹「思い出はセピア色」と、〈繁田園〉の有機抹茶を。

喫茶室には〈エイミーズ・ベイクショップ〉の焼菓子や、〈三原堂〉の最中、〈プチグレース 〉のスノーボールなどもメニューに並ぶ。
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