空間も作品だ! 堂本印象美術館がリニューアル。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

空間も作品だ! 堂本印象美術館がリニューアル。

元祖サイトスペシフィック美術館? 日本画家の堂本印象が手がけた美術館が、半世紀ぶりに大改修。濃密な抽象表現が施された空間は必見です!

特徴的なレリーフの壁が復元され、白く輝く外観。

日本画家が半世紀前に手がけた、斬新な空間デザイン。

2018年3月21日にリニューアルオープンした〈京都府立堂本印象美術館〉。1966年、日本画家の堂本印象(1891-1975)が自らデザインし、京都・衣笠の自宅隣りに開館させた美術館だ。

堂本印象は晩年、1950代のフランスで始まり、日本で旋風を起こした前衛美術の潮流「アンフォルメル」に共鳴。新たな抽象表現に舵を切った重鎮の日本画家が、その集大成として取り組んだのが、この美術館だった。
ステンドグラスや壁面装飾など、印象の作品が広がるロビー。左に見えるのは〈京とうふ藤野〉のカフェ〈藤野茶房〉。
展示室。左は最晩年に最高裁判所のために描いた長さ11mの大型作品「豊雲」。「堂本印象 創造への挑戦」で6月10日まで特別展示中。
ステンドグラスや壁面装飾など、印象の作品が広がるロビー。左に見えるのは〈京とうふ藤野〉のカフェ〈藤野茶房〉。
展示室。左は最晩年に最高裁判所のために描いた長さ11mの大型作品「豊雲」。「堂本印象 創造への挑戦」で6月10日まで特別展示中。
1991年に京都府に寄贈され、その翌年〈京都府立堂本印象美術館〉として再出発。だが開館から半世紀、府営となって25年、全面的な改修がなされることはなく、外壁は傷み、しかるべき手を打つことが待たれていた。

半世紀ぶりの改修工事のコンセプトは、“入りやすく親しみやすい美術館”。特に大きく変わったのは、外観とランドスケープだ。京都工芸繊維大学の角田暁治研究室とともに改修計画を手がけたウズラボの竹内正明は「すでにあるコンテンツを生かしながら、人に入ってもらえる場所になるように意識した」と話す。
外壁のアップ。レリーフから窓の面格子まで、見どころが尽きない。
“入りやすく親しみやすい美術館” とする一環で、敷地の一部が立命館大学前のバス停へと提供され、合わせてリニューアルされている。
外壁のアップ。レリーフから窓の面格子まで、見どころが尽きない。
“入りやすく親しみやすい美術館” とする一環で、敷地の一部が立命館大学前のバス停へと提供され、合わせてリニューアルされている。
全面的に傷んでいた外壁は改修され、かつての輝きを取り戻した。岩を粉砕して固めた特殊な素材でできていたレリーフの突出部分も復元された。

改修前は、塀と門で囲まれており閉ざされた雰囲気だったが、正面の門扉は改められ、間口は拡大された。正面のスペースは広げられ、屋外イベント広場が生まれた。そして建物入口すぐにあった受付は1階の奥に移動され、カフェやミュージアムショップは入場券を買わなくても入ることができる、パブリックなエリアになった。
階段まわりのデザインも見応えあり。窓枠の色も復元された。
3階サロン。印象が使用した筆や絵の具を観覧でき、眺望も楽しめる。窓辺の引き出しは、かつて美術館の家具を手がけた京都の二葉家具が製作。
階段まわりのデザインも見応えあり。窓枠の色も復元された。
3階サロン。印象が使用した筆や絵の具を観覧でき、眺望も楽しめる。窓辺の引き出しは、かつて美術館の家具を手がけた京都の二葉家具が製作。
美術館全体が明るくオープンな空間へと一新されたので内装も大きく変わったように思えるが、実はさほど手は加えられていない。壁面装飾や館内の木彫椅子、案内板、ドアノブなどは印象がデザインしたオリジナル。細かいところまで見応えがあり、空間が作品としてつくり込まれていたことがよくわかる。

サイトスペシフィックの概念もなかったであろう1966年に、美術と建築がこれほど融合した美術館が生まれていたとは驚きだ。半世紀前の斬新な美術空間に親しめる、新名所が誕生した。

〈京都府立堂本印象美術館〉

京都市北区平野上柳町26-3
TEL 075 463 0007。9時30分~17時(入館は閉館30分前まで)。月曜休(祝日の場合は開館し、翌火曜に休館)。入館料500円。6月10日まで、リニューアルオープン記念展覧会「堂本印象 創造への挑戦」を開催中。