【東京・新宿】昭和初期に設計された旧伯爵邸で、アフタヌーンティーを。|甲斐みのりの建築半日散歩 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

●〈曾禰中條建築事務所〉設計のスパニッシュ様式の建築、〈小笠原伯爵邸〉へ。

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〈小笠原伯爵邸〉のシガールーム。ビクトリア朝で好まれたイスラム風デザイン。天井は竣工時の資料をもとに二科会所属の画家が彩色し、床の大理石は当時のものを磨き上げた。
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エントランスの外ひさし。葡萄棚をデザインしている。
まだまだなかなか遠出ができず、外での食事も控えめに過ごす日々が続いている。そんな折にこの春から、スパニッシュレストラン〈小笠原伯爵邸〉で、新たにアフタヌーンティーの提供が始まったことを知る。

小笠原伯爵邸は、小倉藩最後の藩主である小笠原家30代当主・小笠原長幹伯爵の本邸として、竣工当時は2万坪余りの敷地面積を誇った小倉藩所有の土地に、1927(昭和2)年に建てられた。設計したのは、大正から昭和初期にかけて多くの和洋折衷様式の建築を手がけ、慶應義塾図書館旧館や日本郵便ビルなどが代表作の〈曾禰中條建築事務所〉。もともとここには小倉藩の下屋敷があったけれど、関東大震災で崩壊した経緯があり、災害にも強い丈夫な建物を築き上げた。
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シガールームの外壁は、日本における陶磁器研究の第一人者・小森忍の作品でテーマは「生命の賛歌」。1600パーツの大部分が剥がれ落ちていたのを、陶芸家・奥田武彦、直子夫婦が修復。
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庭園にそびえるのは、邸宅のシンボルでもある樹齢500年のオリーブの樹。
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伯爵家の正餐用食堂だった部屋。中央の大テーブルは、当時伯爵家で使用されていた家具として唯一現存するもの。
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かつて身内だけの食事をする場所として使われることがあった1階のベランダは、現在、レストランのテラス席として使用されている。
小笠原家と言えば武士の礼儀作法から始まった「小笠原流礼法」でも知られる存在。パティオや屋上庭園を配したスパニッシュ様式の邸宅は、往時は貴族の社交場として雅やかな時間が流れていただろう。戦後は米軍接収を経て、東京都の施設として使用されたのち、しばらく閉鎖されていた時期がある。そこから老朽化していた建物の修復をおこない、2002(平成14)年にレストランが開業した。今なお千坪を有する敷地内の邸宅も庭も、丁寧に整備され華やかに客人を出迎える。

これまで何度か特別な日やちょっと贅沢をしたいときランチをしたり、建築好き仲間とともにときどきカフェ・バーを利用していたけれど、アフタヌーンティー開始の知らせは朗報だ。午後のひとときゆったりと、お菓子やセイボリーとともに、名建築を味わえるのだから。
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アフタヌーンティー6,600円。アフタヌーンティーが提供される場所は、日にち・天候・人数により異なるけれど、カフェ&バル「OGA BAR」、中庭・パティオ席、2階個室、屋上庭園席と、雰囲気もさまざま。
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建物の中心に位置し、スパニッシュ建築の特徴でもあるパティオ。階段は屋上庭園につながっている。
ペストリーシェフ・高橋草哉氏が林望『イギリスはおいしい』からインスピレーションを受けて作る「オオカミの口」と呼ばれるサクサク素朴な食感のスコーン、口どけまでに3回「ポルポロン」と唱えると願いが叶うと伝わるスペインの伝統菓子「願いが叶う ポルポロン」、30年ものの希少なペドロヒメネスが隠し味の「30年熟成シェリー酒入り バスクチーズケーキ」など、18種類のお菓子とセイボリーに、2種類のジャムとクロテッドクリーム、飲み物がついた贅沢なセット。

エントランスの、小鳥がモチーフの鉄製の明かりとりや、ステンドグラス作家・小川三知デザインの復刻ステンドグラスなど、邸宅が別名「小鳥の館」と呼ばれるゆえんとなった装飾も堪能。庭先では実際に愛らしい小鳥が羽ばたくのが見えた。
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エントランス扉上部の鉄製の明かりとり。邸宅が別名「小鳥の館」と呼ばれるように、小鳥のモチーフが。
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鳩が空に舞うステンドグラスのデザインは小川三知によるもの。当時の写真を元にイタリアで復刻している。
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かつての応接間に残る。小川三知デザインの小花のステンドグラス。陽が差す時間により表情を変える。

〈小笠原伯爵邸〉

東京都新宿区河田町10-10 TEL 03 3359 5830。[レストラン]11時30分〜15時、18時〜23時。[OGA BAR by 小笠原伯爵邸]11時30分~19時。無休。※営業時間は変更する可能性があります。アフタヌーンティーは要予約。木〜日(祝)の提供、15時30分もしくは16時スタート。予約詳細は公式webサイトで確認を。

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