新型《ディスカバリー》はどう変わったのか。 | カーサ ブルータス Casa BRUTUS

新型《ディスカバリー》はどう変わったのか。

イギリスの誇るラグジュアリーSUVの雄〈ランドローバー〉の主力車種《ディスカバリー》が、フルモデルチェンジ。新しくなったデザインと乗り心地をリポートします。

オンロードの他、今回の試乗会にはスキー場を利用したオフロードコースも用意されていた。特に難所があるわけでなくごく普通に走れるコースだが、どんな悪路でもスイッチひとつで確実に走ってくれるATPC(ALL-TERRAIN PROGRESS CONTROL)や下り坂での安全性を確保するhdc (hill descent control)を使うと、ますますカンタンに走ることができてしまう。誰が乗っても安定した走りを実現してくれるのが嬉しい。
〈ランドローバー〉の主力車種、《ディスカバリー》がフルモデルチェンジされ日本で発売された。〈ランドローバー〉はイギリスのSUV専門メーカーの社名であり、ブランド名でもある。もともとは実用的なオフロードカーの《ディフェンダー》をつくっていたが、さすがは王室国家イギリス、上流階級に向けて「オフロードのロールスロイス」と呼ばれた世界初の超高級SUV《レンジローバー》を生み出した会社である。

「Disco」の愛称を持つディスカバリーは1989年に初代がデビューし、今回が5代目モデルとなる。ちなみにSUV(Sport Utility Vehicle)という言葉はアメリカで生まれたもので、日欧で普通に使われるようになったのは21世紀になる頃からだった。現在の高級SUVブームの盛り上がりと完全に同期しており、かつての「オフロードカー」や「4WD車」はほとんど死語となった。
完全なフルサイズSUV。《レンジローバー》の全長5m超えには及ばないが、幅、高さ、ホイールベースともにレンジよりも大きいほど。大自然の中では頼り甲斐があっていい。
今回のモデルチェンジの目玉はボディデザインの大変革と、さらなる大型・高級化、乗り味も含めた各機能の洗練度アップといったところだ。《ディスカバリー》は初代から先代モデル(2009年)までボクシーかつバランス的に上屋が大きく見える独特のボディデザインを通してきた。もともと《レンジローバー》の部品を多く流用してつくられた経緯もあり、当初から乗用車的なスタイルを持っていたところが現代のSUVのあり方を予言していたようにも見える。乗用車的とは、カンタンに言えば、日頃ワックスをかけたくなるボディかどうか、と思ってほしい。
離れたところから見たリアビューは背の高いミニバンのように見える。人も荷物も満載で遊びに出かけたくなるデザインだ。
その後モデルチェンジしても基本的には初代の風情を保っているところにデザインの一貫性があって、一度見たら忘れない、「Disco」といえばこんな箱形ということになっていた。それが今回は流線型に大きく変わったのだ。クルマのデザインはモデルチェンジする毎に好きだキライだと話題になるわけだが、今回の刷新は往年のファンにとっては驚きだったろう。しかし、このカタチはいきなり登場したわけではなく《ディスカバリー・スポーツ》という下のクラスのモデルで先行していたデザインの方向性と同じなので、ある程度予測はしていたかもしれない。
Cピラーをボディと同色にして目立たせるのが《ランドローバー》、反対にサイドガラスのようにブラックアウトさせ、フロントからリアへの流れをさえぎらず流麗な感じを持たせるのが《レンジローバー》のデザイン手法。
それでも伝統的なデザインも踏襲されていて、横から見たときのCピラー(後席用ドアの後ろを支える斜めの窓枠)以降の大きな荷室は《ディスカバリー》らしい。何となくボディを後ろに増築したように見えるこの部分が、ユーティリティの高さを直感的にイメージさせるのだ。3列シート7人乗りにした時にも大人が最後部に座って十分広そうな空間や、そのシートをたたんで荷物を入れればいくらでも収納できそうな頼り甲斐を感じる。後部の屋根がわずかに高くなっているのも《ディスカバリー》のデザイン的な特徴としてよく知られているところだ。

さて、ランドローバー・ブランドのアイデンティティは、アメリカの〈ジープ〉と並ぶ世界トップクラスの悪路走破性能の高さにある。オフロードと言っても状況は多種多様。砂漠、岩場、泥沼、雪や氷、そして川や池など水の中を渡る能力までが要求される。そんな時に重要なのがトラクション能力とサスペンション・ストロークだ。トラクションとは「駆動力」のことだが、こうした洗練されたフルタイム4WD車ではまるで四輪それぞれに目がついているかのように、路面との接地状況が刻一刻と変化していくのを検知して、常に最適な駆動力や制動力を配していく。このクルマの場合はATPCというスイッチひとつでアクセルを操作せずに走っていくことができる。